転職エージェントの返戻金制度とは|早く辞めたら誰が払う?公開PDFで条件を読む
※この記事にはアフィリエイト広告(成果報酬型広告)を含む場合があります。確認日:2026年10月27日
結論
- 返戻金(へんれいきん)は、紹介会社が受け取った紹介手数料の一部を、求人企業に返すしくみです。やりとりは紹介会社と求人企業のあいだのもので、求職者が払うお金ではありません。
- 返す割合と期間は会社ごとに違います。公開資料の例では「入社後1か月以内なら80%、3か月以内なら50%」のように、時間がたつほど割合が下がる形が多く見られます。
- 返戻金は「全額」「無条件」ではありません。自己都合の退職だけを対象にする、会社都合は対象外にする、病気や天災は別に話し合う、などの条件が付くことがあります。
返戻金制度のしくみ:だれが、だれに返すのか
転職エージェント(有料職業紹介事業者)は、紹介した人が入社すると、求人企業から紹介手数料を受け取ります。入社した人が短い期間で辞めた場合に、その手数料の一部を求人企業に返す取り決めが返戻金制度です。
求職者が手数料を払うことは、原則としてありません。職業安定法第32条の3第2項は、有料職業紹介事業者は求職者から手数料を取ってはならないと定めています(省令で決められた一部の例外を除きます)。そのため、早く辞めても、求職者がエージェントにお金を返す必要は、通常はありません。
返戻金制度を設けることは法律上の義務ではありません。宮城労働局は、返戻金制度を「設けることが望ましい」とされている、と案内しています。制度があるかどうかは、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で会社ごとに公開されています。
公開PDFの例:期間と割合を比べる
人材サービス総合サイトには、各社が出した返戻金制度の説明資料(PDF)が載っています。下の表は、その中から5社分を読み、条件をまとめたものです。サービスの良し悪しを比べる表ではありません。並びは会社名の五十音順です。
| 事業者(許可番号) | 1か月以内 | 1〜2か月 | 2〜3か月 | 主な条件 |
|---|---|---|---|---|
| インバウンドテクノロジー株式会社(13-ユ-307699) | 80% | 50% | 50% | 契約で別の取り決めをする場合あり |
| 五合ネット株式会社(13-ユ-313697) | 80% | 50% | 50% | 本人の意思や本人の責任による退職が対象。会社都合は対象外。天災・病気などは別途協議 |
| 株式会社Nijiリクルーティング(13-ユ-308011) | 80% | 50% | 20% | 自己都合退職と、本人の責任による解雇が対象 |
| プライマル株式会社(13-ユ-303534) | 制度なし | 早期離職時の扱いは求人企業と個別に協議し、契約で決める | ||
| 株式会社メディカルワールド(13-ユ-300085) | 90% | 60% | 30% | 自己都合などが対象。求人企業の法令違反や不当な解雇で辞めた場合は対象外 |
出典:人材サービス総合サイトに掲載の各社「返戻金制度」資料(確認日:2026年10月27日)。期間の区切りは資料により「入社後」「就労開始日から」など表現が異なります。
読み取れるのは次の3点です。
- 期間は「3か月以内」までの例が多く、それより後は返戻金の記載がない例が目立ちます。
- 割合は1か月以内で80〜90%、その後は段階的に下がります。
- 多くの資料に「契約書で別に定める場合がある」と書かれています。公開PDFの条件が、すべての求人企業にそのまま使われるとは限りません。
自分で返戻金制度を確かめる手順
- 使いたいサービスの運営会社名と許可番号を、公式サイトの会社概要などで確かめます(許可番号の見方)。
- 厚生労働省「人材サービス総合サイト」で、職業紹介事業の検索から許可番号や事業主名で探します(許可番号の調べ方)。
- 事業所の詳細ページで「返戻金制度」の欄を見ます。「有」の場合、説明資料が添付されていることがあります。
- 資料で「対象期間」「割合」「対象になる退職理由」「対象外」「協議になる場合」を確認します。
主なサービスの返戻金制度の有無は、転職エージェント公開データ一覧にまとめています。
返戻金「有」の意味と限界、早期退職との関係
返戻金制度が「有」でも、それは求人企業との精算の話です。求職者にとっての意味は、主に次の2つです。
- 早く辞めると紹介会社の収入が減るため、紹介会社には、合わない求人に無理に押し込まない理由ができます。ただし、これで定着が約束されるわけではありません。
- 短期で辞めた場合、求人企業と紹介会社のあいだで精算が起きます。求職者が払うものではありませんが、事情はていねいに伝えるほうが話がこじれにくくなります。
また、紹介会社は、自社が紹介して無期雇用で就職した人に、就職から2年間は転職を勧めてはならないとされています。早く辞めて同じ会社にまた紹介を頼む場合、扱いが変わることがあります。くわしくはお祝い金の禁止と転職勧奨の禁止をご覧ください。
担当者に聞いておきたいこと
- 入社後すぐ辞めることになったら、どこに、何を連絡すればよいか
- 試用期間や配属の条件が、求人票と違った場合の相談先
- 入社後の相談(フォロー)は、いつまで受けてもらえるか
- 同じ求人に、ほかの紹介会社経由でも応募が出ていないか
よくある質問
Q. 3か月で辞めたら、エージェントに違約金を払う必要がありますか?
A. 職業安定法では、有料職業紹介事業者は原則として求職者から手数料を取れません。返戻金は求人企業と紹介会社のあいだの精算です。求職者に請求があった場合は、契約書を確かめ、都道府県労働局に相談できます。
Q. 返戻金制度が「無」の会社は使わないほうがよいですか?
A. 制度の有無だけでは判断できません。「無」でも、求人企業と個別の契約で決めている会社があります。就職者数や6か月以内の離職率など、ほかの公開データとあわせて見るのがおすすめです。
Q. 病気で辞めた場合も返戻金の対象ですか?
A. 会社によります。公開資料の例では、病気や天災などは「別途協議」とするものがあります。
職種ごとの手数料率と離職率の平均は、職種別の手数料率と6か月以内の離職率で解説しています。
給料と、帰ってからの時間。両方並べてみよう。