ジョブ型雇用とは?国内事例7選とメリット・デメリット

ジョブ型雇用とは

定義

ジョブ型雇用とは、従業員を雇用するに当たり職務内容(ジョブ)を明確に定義し、職務に必要なスキルや知識を持った人材を募集する雇用方法のことを指します。

ジョブ型雇用で人材を雇用する際には、業務内容や目標、権限や責任の範囲、必要なスキル・知識・経験・資格、勤務地や賃金、評価基準などを細かく指定した「ジョブディスクリプション(職務記述書)」が定められます。企業側はこのジョブディスクリプションに沿って採用活動を行い、条件にマッチした応募者を採用します。ジョブ型雇用は、特定の仕事に対し、専門スキルを持った人材をピンポイントで雇用する雇用方法だと言えます。

ジョブ型雇用は欧米諸国では一般的な雇用方法であるのに対し、日本での活用は十分に進んでいるとは言えません。とは言え、ビジネスにスピードや専門性がより求められるようになった今日、ジョブ型雇用は優秀な人材を獲得するひとつの方法となり得るため、多くの企業から注目を集めています。

特徴

ジョブ型雇用は、特定の仕事に対して人材を雇用する方式であるため、人事制度の面でも従来の日本式の雇用方法である「メンバーシップ型雇用」と大きく異なる特徴を持ちます。

特定の仕事のために雇われているため人事異動や転勤はなく、給与体系も年功序列ではなく業務内容の専門性や必要スキルに応じて決定されます。既に専門スキルを持った人材を雇用するため入社後にじっくり教育や研修で育てられることはありません。

さらに欧米では、ジョブディスクリプションに定められた業務内容が何らかの事情でなくなった場合、解雇されるケースも多く存在します。ジョブに対して人を当てているため、その業務が必要なくなったら担当していた従業員も必要なくなるという考え方であり、人材の流動性が高まる傾向にあります。日本では一度雇用した従業員を簡単には解雇できないため、ジョブ型雇用でありながらも必要なくなったから即解雇というケースは一般的ではありませんが、ジョブ型雇用が今後浸透しきった際には欧米のように人材の流動性が高くなるかもしれません。

最近でも、経団連の前会長である中西宏明氏が、「雇用制度全般の見直しを含めた取り組みが大事だ」と述べて注目を集めるなど、ジョブ型雇用を取り入れようと言う機運が高まりつつあるため、こうした未来も現実味を帯び始めていると言えます。

ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違い

メンバーシップ雇用とは

メンバーシップ型雇用とは「日本型雇用」とも呼ばれる新卒一括採用を行う雇用システムです。新卒で採用した人材を様々な部署での業務や教育を通じてじっくり育て上げ、長年に渡り働いてもらうことを前提としています。こうした制度は終身雇用制度と呼ばれ、高度経済成長期の日本では合理的なシステムでした。そのため現在でも多くの企業がメンバーシップ型雇用を採用しています。

メンバーシップ型雇用は職務内容に対して人材を採用するのではなく、総合職として入社し、集合研修やOJT、ジョブローテーションを通じて、時間をかけて人材を育成していきます。メンバーシップ型雇用は1つの専門的なスキルを身に付けることよりも、幅広い知識や視野を得ることに強みを持っており、企業にとってさまざまな分野を経験することで長い期間貢献してもらえるメリットがあります。職務内容や勤務地なども定められておらず、長く勤めることで賃金が上がっていく年功序列のシステムを持つため、企業と従業員が二人三脚で長年ともに歩むような雇用形態だと言えるでしょう。

また、メンバーシップ型雇用では職務内容は入社後に決定されるため、転勤や部署異動なども企業側が主導で進められます。ジョブ型雇用が「仕事」を軸に人を当てるのに対し、メンバーシップ型雇用は「人」を軸として仕事を割り当てる雇用制度だと言えます。

ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違い

ジョブ型雇用は、日本の一般的な雇用方式であるメンバーシップ型雇用と比べると、大きな違いがあります。ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の主な違いは以下の通りです。


ジョブ型雇用 メンバーシップ型雇用
業務範囲 定められる 明確な範囲は定められない
異動・転勤 なし あり
給与 専門性・業務成果に応じる 年功序列
社内教育 なし(自ら学習が必要) あり
採用のタイミング 特定業務が必要になったとき 定期的・一括採用
雇用期間 特定業務が発生している間 長期間を前提とする
解雇 特定業務が不要になれば 少ない
人材の流動性 高い 低い

この表からも、ジョブ型雇用は明確な業務範囲に対し、必要なスキルや知識をもって成果をあげることを目的に雇われる雇用形態であることが良くわかります。ジョブ型雇用は明確なジョブディスクリプションや評価基準のもと、十分なアウトプットを出せるだけの専門性やスキルが求められ、業務が必要なくなれば契約も終了する、シビアなプロフェッショナルの世界です。ジョブ型雇用で働くビジネスパーソンは、ひとつの企業に長く属するというよりは、業務を通して専門性やスキルを伸ばし、業務終了と共に転職してキャリアを積み上げていくスタイルになります。

一方、メンバーシップ型雇用は、より幅広い分野において総合的なスキルや経験を身につけて長期間働いてもらうことを目的とした雇用方法です。企業に長く属すことを前提としており、基本的に解雇などはなく、終身雇用を想定して企業はジョブローテーションや転勤、研修などを通して人材を育成します。メンバーシップ型雇用では、退職などで欠員が出た際は企業内の配置転換で補えることもジョブ型雇用との違いだと言えます。メンバーシップ型雇用は特定の業務に対しての雇用ではないため業務が終了しても解雇の可能性は低く、従業員にとって安定が得られる雇用形態でもあります。

それぞれの雇用形態の違いから、ジョブ型雇用が職に就く「就職」であるのに対し、メンバーシップ型雇用は会社に就く「就社」とも言われています。

ジョブ型雇用が注目される理由

専門性の高い人材を獲得するため

昨今AIやIoT、ビッグデータ、5Gなど「第4次産業革命」と呼ばれているほど、多くの分野でITによる技術革新が進んでいます。内閣府の白書でも「第4次産業革命のインパクト」にて、第4次産業革命が私たちの経済活動から働き方、ライフスタイルに至るまでさまざまな面で影響を与えると記載しています。

またITによる技術革新はグローバル化を加速させ、国際競争を加速させてきました。スイスのIMD(国際経営開発研究所)が発表している「世界競争力年鑑」によれば、日本の世界競争力は64カ国中31位となっており、2015年から2020年の5年間でも下落していることが示されています。

世界を相手に競争力を維持しなければならない現代において、企業が競争力を維持して存続するためには、より専門性の高い人材の獲得が必要不可欠です。しかし日本がこれまで行ってきたメンバーシップ型雇用では、専門性の高い人材が育ちにくいという課題があり、その対策としてジョブ型雇用が注目されているのです。

テレワーク等の働き方の変化に対応するため

2020年に大流行した新型コロナウイルス感染症の影響でテレワークを含む新しい働き方が広く普及しました。株式会社パーソル総合研究所の「新型コロナ下における2万人規模のテレワーク調査」によれば、東京五輪開催期間中かつ緊急事態宣言下における正社員のテレワーク実施率は、全国平均で27.5%だったとしています。東京都に限れば、テレワーク実施率は47.3%にも上っています。こうしたデータを踏まえ、総務省の「令和2年 情報通信白書」では、テレワーク実施率は増加傾向にあるとしており、多様な働き方が社会に根付いたと言えます。

こうした働き方の多様化を受けて、ジョブ型雇用が改めて注目を集めています。働き方が変化したことで従来のように出社しているから仕事をしているという曖昧な基準での評価が困難になった結果、明確な職務範囲と評価基準のもと成果を求めるジョブ型雇用が見直された形です。

メンバーシップ型雇用の問題点を解決するため

ジョブ型雇用は、専門的なスキルを持った人材を育てにくいというメンバーシップ型雇用の問題点を解決するためのひとつの方法となり得るため、注目を集めています。一定期間でジョブローテーションを行うメンバーシップ型雇用は幅広い分野において総合的なスキルを身につけられる反面、専門的なスキルを身に付けにくい傾向にあります。ジョブ型雇用は専門スキルを前提として特定業務に対して募集をかけるため、メンバーシップ型雇用の弱点をカバーできる雇用形態だと言えます。

また、ジョブ型雇用は成果や専門性によって給与が決定されるため、高い成果をあげたのに年齢が理由で給与が上がらなかったり、年齢やポジションが高いだけで重要な仕事ができていない人材に高い給与が与えられたり、といった問題を解決することができます。仕事の専門性や成果に対して適正な評価が与えられる点において、ジョブ型雇用はメンバーシップ型雇用の弱点をカバーしていると言えます。

ジョブ型雇用のメリット・デメリット

メリット

ジョブ型雇用のメリットとしては下記のようなものが挙げられます。

【企業側のメリット】

  • 専門性の高い即戦力の人材を雇用できる
  • 業務内容と人材のミスマッチが起こりにくい
  • 業務内容・評価基準・報酬などが明確
  • 生産性の向上が期待できる

【従業員側のメリット】

  • 専門領域の仕事に専念できる
  • 転勤や部署異動などがない
  • 目標や成果が明確
  • スキルアップによる収入増が見込みやすい

企業と従業員双方にとって、ジョブディスクリプションが明確に定められているジョブ型雇用は、あらゆる面でのミスマッチを防ぎやすく、大きなメリットを生み出します。従業員が専門領域に集中することでさらなるスキルアップを促し、生産性が高まり、企業の競争力強化や従業員の収入アップにもつながることも十分にあり得ます。

また、ジョブディスクリプションに記載された業務がなくなった場合でも、企業にとっては必要以上の人材を抱え続けるリスクを軽減でき、従業員側も磨いた専門スキルを武器に転職してキャリアアップを目指すことも可能です。

デメリット

ジョブ型雇用にもデメリットは存在します。典型的には下記のようなものが挙げられます。

【企業側のデメリット】

  • 人材の流動性が高く長期雇用が難しい
  • ジョブディスクリプションにない業務はさせられない
  • 企業への帰属意識や一体感は生まれにくい

【従業員側のデメリット】

  • 失業リスクが高い
  • 自己研鑽が必要不可欠

ジョブ型雇用は良くも悪くもシビアな世界です。企業と従業員の関係はかつてあった「同じ釜の飯を食う」といった類のものではなく、どちらかと言えば企業とプロフェッショナルが双方納得できる条件で契約を結ぶ関係に近いものになります。当然、企業としては従業員を便利に使うようなことはできませんし、配置転換なども命令できません。従業員としても長期間安定した雇用を望むことは困難ですし、自ら考えて学び続ける姿勢は生き残る上で必要不可欠です。

こうした点をデメリットと感じかどうかは人それぞれではありますが、メンバーシップ型雇用に存在する恩恵の一部を受けられないことは確かです。

また、終身雇用制度に長年馴染んできた日本人からすると、感情的な側面として、ジョブ型雇用のドライな関係をネガティブに捉えてしまう方も多いかもしれません。

ジョブ型雇用の国内事例7選

事例1:株式会社日立製作所

日立製作所は2021年4月から「ジョブ型人財マネジメント」という雇用スタイルをスタートさせています。日立製作所がジョブ型雇用を開始した背景には、同社が進めるグローバル化への対応があります。約10年前からグローバルで戦うことに舵を切った同社は、世界中に従業員数が30万人います。その半数が外国籍の従業員であるため、グローバル共通となる人事制度が必要となり、ジョブ型雇用を開始しました。

実際に雇用や採用にもジョブ型雇用を強化しており、初任給を一律ではなく職務内容や経験に応じて個別に設定しています。この施策も「就社よりも就職」という応募者のニーズに応えるものだとしています。

同社ではジョブ型雇用を開始するため、300~400種類にも及ぶ職務ごとのジョブディスクリプションを設定しました。職務記述書には「ミッション、役割、必要なスキル、能力」などが細かく記載されており、会社が求める職務内容を従業員に伝えています。また同社はジョブ型雇用に関連する制度として、採用、異動、評価、人材育成、福利厚生などを整備し、2024年度には完全なジョブ型雇用に移行する計画です。

事例2:富士通株式会社

富士通は2019年6月にジョブ型雇用への移行を発表し、2020年4月から国内のグループ会社を含む管理職以上の約15,000人の幹部社員にジョブ型雇用を開始しました。ジョブ型雇用を導入した目的として、「より大きな職責にチャレンジすることを促し、そこで成果を挙げた人にタイムリーに報いること」としています。

同社ではジョブ型雇用に伴い、報酬体系を職責の大きさや重要性の観点から決定する「FUJITSU Level」を独自に策定し、それに基づいた金額を支給しています。今後も「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」という富士通が掲げるパーパスを達成するために、ジョブ型雇用の適用を一般社員にまで広げていく方針とのことです。

事例3:KDDI株式会社

KDDIは2020年8月から「KDDI版ジョブ型人事制度」を導入しました。ジョブ型雇用を導入した背景には事業の多角化があると言います。KDDIは通信事業の他に、金融や保険、エネルギーなど事業が多角化しており、各事業領域に対応ができるプロフェッショナルの確保が必要だと考え、ジョブ型雇用を採用しました。

またKDDI版ジョブ型人事制度のコンセプトは「プロを創り、育てる制度」だと言います。KDDI版ジョブ型人事制度が求めるのは単なるプロフェッショナルではなく、人間力の高さを評価軸に加えているとのことです。人間力の評価軸にはチームビルディング、リーダーシップ、フォロワーシップなどの要素を取り入れており、KDDIの社風に合わせたジョブ型雇用の仕組みづくりを目指しています。

事例4:株式会社資生堂

資生堂では、社員の専門性を強化し「グローバルで勝てる組織」となることを目指して、2021年からジョブ型人事制度を導入しています。社員の評価軸を個人の能力から職務(ジョブ)へと移行し、業務内容や職務に必要な専門知識を明確化して客観的な評価を可能にしました。

また資生堂では、20以上のジョブファミリー(職域)においてジョブディスクリプションを用意し、それぞれの等級の業務範囲を適用する「ジョブグレード制度」も導入しています。等級が上がれば専門性が増すことに加え、ジョブファミリー内での異動にも対応できるようになっています。

事例5:株式会社三菱UFJ銀行

三菱UFJ銀行は2022年春から入社する新卒社員から、スキルによって給与水準に差をつけるジョブ型雇用を開始すると発表しています。具体的には金融工学やデジタル技術を専門とした人材を対象としており、年収が1,000万を超える可能性もあるそうです。

金融業界ではFinTech (Finance×IT) を取り入れた事業戦略が欠かせなくなってきており、これまでの横並びの給与体系では高い専門性を持つ優秀な若手の確保が困難になりつつあります。こうした背景から、三菱UFJ銀行では専門性の高い人材を確保するべくジョブ型雇用に乗り出した形です。

ジョブ型雇用を導入する専門職枠は「ファイナンシャル・テクノロジー」「戦略財務会計」「システム・デジタル」「ウェルスマネジメント」の4種類で、新卒採用全体の1割程度の40名をジョブ型雇用で採用予定だと言います。これまでのメガバンクにはない採用方針に優秀な学生が集まるのか、注目を集めています。

事例6:カゴメ株式会社

カゴメは2013年と早くからジョブ型の人事制度を導入し、成功した企業として注目を集めています。

カゴメはジョブ型の人事制度を導入するまでは、完全な年功序列での人事評価を採用していました。年功序列の人事制度下では、多くのポストを50代など上の層が押さえてしまい、現場で活躍する30~40代に重要なポストが回ってこない構造が出来上がってしまっていたと言います。

そこでカゴメでは、役員・部長・課長などで計370の仕事内容を8つのスキルを軸に分析し、12のグレードに格付けする職務等級を作成し、部分的にジョブ型人事制度の導入をスタートしました。現場の社員に納得してもらうため、まずは役員などから改革を進めたそうです。

なお、カゴメの仕事内容には部門間の連携を多く必要とする業務も多く、ジョブディスクリプションが明確化できない職務も少なくないと言います。こうした職務に当たる社員については、今後もジョブ型雇用を拡大する予定はないとのことです。ジョブ型雇用が適した職種に対してはジョブ型雇用を採択し、そうでない職種については従来の人事制度を利用する、制度を上手に使い分けている事例と言えるでしょう。

事例7:日本電産株式会社

日本電産では2020年度に結果重視の評価制度を導入し、2021年度には「職務等級制度」や「報酬制度」を導入しました。日本電産は2030年度に連結売上高10兆円を目指しており、グローバル競争を勝ち抜くためにこれらの制度を導入したと言います。

職務等級制度ではポジション毎にジョブディスクリプションを明確化し、条件を満たしているならば、年齢や性別に関わらず希望のポジションに就ける可能性があるとしています。それぞれのポジションには成果基準も示されており、賞与は実績に応じて決定する方針です。

今後は若手社員にジョブディスクリプションを公開し、自律的なキャリア形成を促したいとしており、2022年4月には国内グループ企業約10,000人に適用を拡大する考えとのことです。

ジョブ型雇用の課題

前章の事例で示したように、大手を含む多くの企業でジョブ型雇用の導入が検討されています。しかし、ジョブ型雇用はこれまでの日本の人事制度と大きく異なる制度であるため、課題が多いこともまた事実です。

最大の課題はジョブ型雇用を行う体制が整っていないことにあります。ただジョブディスクリプションを明確化するだけでは、ジョブ型雇用が機能することはありません。ジョブ型雇用を実現するために必要な採用方法や評価制度、報酬制度、環境などを整える必要があります。

こうした制度の構築や運用は、従来のメンバーシップ型雇用とは大きく異なるため、企業側も従業員側もこれまでの考え方から変わらなければなりませんが、従来のやり方を続けてしまうケースも散見されます。ジョブ型雇用を導入しても、職務を基準に専門的な人材を配置するのではなく、どうしても人を基準に業務を割り当ててしまう、といった失敗の例も珍しくありません。
また、全社的な導入が難しい業界や職種もありますので、単純にジョブ型雇用を導入するのではなく、どの部分に導入するか、どのように導入するかを深く考えると良いでしょう。

ジョブ型雇用は日本で広がるのか

日本経済団体連合会が発表した「2020年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果」によれば、ジョブ型雇用の導入を検討中と回答した企業は48%にも上っています。既に導入済と回答した企業も35%あり、今後さらに広がりを見せていくと予想されます。

しかし日本では長年の間メンバーシップ型雇用を採用してきた企業が多いため、ジョブ型雇用の浸透には時間がかかるでしょう。先述したように日本企業の多くが、総合職での入"社”という形で採用活動を行っています。総合職での入社の場合は仕事の内容や範囲が曖昧なことも多く、自身の業務や責任の範囲が不明瞭な場合も多くあり、それが普通だと考えられてすらいます。また、給与の面でも年功序列で上がっていくものという固定観念も根強くあります。

ジョブ型雇用が浸透するためには、こうしたメンバーシップ型雇用の価値観とは異なる考えを、多くの人が受け入れなければなりません。もちろん全てを一度に変えることは難しくはありますが、グローバル化の働き方の変化などが加速する中、部分的にでもジョブ型雇用を導入・実践して競争力を高めようとしている企業もあります。未来に向けてのひとつの選択肢としてジョブ型雇用が日本で浸透する可能性は十分にあるでしょう。

まとめ

私たちを取り巻くビジネス環境や働き方に対する意識は、大きく、そして急激に変化してきました。ジョブ型雇用が注目を集めているのも、こうした変化に対応しようと悩む企業が増えてきたからと言えるでしょう。

ジョブ型雇用は万能な制度ではありません。企業によってはメンバーシップ型雇用の方が適している場合もあるでしょう。ジョブ型雇用のメリット・デメリットを理解し、自社にとってどのような形で組み込めば良いのかを検討し、上手に取り入れることが必要です。

また、従業員として働くビジネスパーソンにもジョブ型雇用でこそ輝くスペシャリストもいれば、メンバーシップ型雇用の総合職で力が発揮できるゼネラリストもいます。ジョブ型雇用という雇用形態を知った上で、自身にはどのような働き方が合っていて、どういったキャリアを目指すのか、改めて考えてみると良いでしょう。

さまざまな人事制度が上手に利用され、誰もが輝ける働き方が実現されることを願っています。

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