20代の転職のポイント!前半・後半の違いと知っておきたいこと
目次
20代の転職市場の動向
現在の転職市場は売り手市場と言われています。独立行政法人 労働政策研究・研修機構が発表した「職業紹介-都道府県別有効求人倍率」によれば、2021年1月の有効求人倍率は全国で1.10倍、東京都にいたっては 1.23倍と高い数値となっています。
中でも20代の中途採用者は増加傾向が顕著です。株式会社リクルートによる企業の人事担当者・転職経験者へのアンケート調査によれば、20代の中途採用者は5年間で2.4倍に上っており、20代前半での転職決定者は3.8倍にもなっています。加えて20代前半で社会人経験1年未満者の採用を行なっていると回答した企業は78.1%にも上りました。
上記のデータから企業が積極的に20代の人材確保を行っており、需要が大きいことがわかります。企業が積極的に人材確保を行なっている理由は「将来の人材不足への対応」「事業変革が加速したことへの対応」などが挙げられます。
一方で、20代で転職活動をする若手は「プライベートな時間を十分に確保できる」「やりたい仕事ができる」などを基準に考えている人が多いのが特徴です。仕事だけでなく、ワークライフバランスを大事に考える傾向にあります。
また昨今のコロナ禍において、会社の業績不振などによって転職を余儀無くされる20代も多いと言えます。そのため転職への行動意識が高まっており、転職サイトRe就活を運営している株式会社学情のアンケート調査によれば、3ヶ月以内に転職を行いたいと考えている人の割合が63.4%にも上りました。これらの調査から早期に転職を考えている若手が増えてきていると言えます。
このように若い人材を確保したい企業側やコロナ禍による転職への意欲向上などにより、20代の転職市場は拡大傾向にあります。
20代前半の転職
第二新卒などポテンシャルが評価される
社会人経験のある25歳前後までの転職志望者を「第二新卒」と呼びますが、この20代前半の転職活動はポテンシャルが評価されるという特徴があります。
社会人経験が浅い20代前半の転職活動では、企業側も即戦力を求めておらず、最低限のビジネスマナーやビジネススキルを身に付けつつ、まだどこかの企業に染まり切っていないフレッシュさを重視しています。長く働いてくれそうな人や、将来のポテンシャルが見込める人、熱意がある人などが評価されるため、経験やスキル、専門技術などが未熟な若手でも転職しやすいのが20代前半の特徴だと言えます。
ただし、前職を1年未満で退職してしまっている場合などは、採用してもすぐに辞めてしまうのではと不安視されてしまうケースもあるため、転職理由などを含めて前向きな印象を与えられるよう工夫することが必要になるかもしれません。
未経験の業界や職種への転職も可能
20代前半であれば、新卒で入社した会社とは異なる未経験の業界や職種への転職も比較的容易です。20代前半の若者は新たな環境に適応しやすく、今後の社会人生活もまだ長く残っている期間であるため、未経験の業界や職種への転職は30代・40代と比べるとずっとハードルが低いと言えます。20代前半は、社会人経験をもとに、新たなチャレンジを行いやすい時期だと言えるでしょう。
20代後半の転職
経験やスキルが求められる
20代後半の転職ともなると、経験やスキルなどが求められてきます。20代後半のビジネスパーソンは成果が求められたり、責任や義務、裁量が生じる仕事を任されたりすることも多く、実務で何をしてきたのかが問われます。そのため、20代前半で求められた熱意やポテンシャルだけをアピールしていると転職は成功しにくくなります。より具体的に、経験やスキル、専門技術や知識などを、実務に即して説明できる必要が出てくるのが20代後半です。
同業界・同職種への転職が妥当
20代後半は経験やスキルが求められるようになってくるため、自身がこれまで経験してきた業界や職種への転職が最もスムーズに進むはずです。同業界や同職種での実務経験があれば、企業側も転職志望者に基本的なスキルがあることを想像しやすく、評価しやすいからです。
とは言え、20代後半であればまだまだ他業界・他職種への転職も不可能ではありません。今までの経験を活かして採用企業側に貢献できる何かがあれば、十分に転職できる可能性は残されています。30代・40代では未経験の業界や職種への転職はかなり厳しくなってくるため、逆に考えれば20代後半は他業種へ転職する最後のチャンスと言えるかもしれません。
20代で転職するメリット・デメリット
メリット
20代で転職する最大のメリットは、やはり転職市場が大きいことにあります。20代の若手に向けた求人は30代以降と比べてずっと多く、さまざまな業界・職種の求人が転職サイトにも掲載されています。
熱意やポテンシャルを評価してもらえる20代のうちであれば、未経験の業界・業種・職種への転職も比較的容易ですし、抜本的なキャリアチェンジをするなどチャレンジしやすい期間と言えるでしょう。また、前職の経験が活かせる、将来性があるなどと評価されれば大企業への転職や年収アップにも成功する可能性があります。
30代以降で大きなキャリアチェンジを行うことは困難なため、20代の転職を通して自身のキャリアデザインを見つめ直すと良いかもしれません。
デメリット
20代で転職する最大のデメリットは、企業側に早期退職を懸念されてしまうことです。企業側は従業員には長い期間働いてもらいたいと考えていますが、20代で転職をしている若者は採用しても短期でまた転職してしまうのではと見られがちです。
こうした採用側の懸念を払しょくするためには、自身の将来のビジョンやキャリアプランと照らし合わせた上で、現職の退職理由や転職先の企業でやりたいことなどを具体的に伝え、前向きな印象を持ってもらうような工夫が必要です。そのためには、前述のキャリアデザインなどを行うことで自身について整理するとともに、転職先の企業について詳しく理解しておくことが必要です。
また、他のデメリットとしては、転職による年収ダウンの可能性があります。転職先の規模や条件、自身の経験やスキルなどによっては、前職よりも年収が落ちるケースも珍しくありません。転職理由の上位に年収があげられていることからも、年収ダウンは大きなデメリットになると言えます。そうならないよう自身を客観的に評価し、最適な転職先を探すことが必要です。
20代の女性が転職するときに知っておきたいこと
現在では働く女性も増え、それに伴って20代女性の転職も増えてきました。そんな中で転職活動を行う20代女性に求められるものは、先述した熱意やポテンシャル、経験やスキルです。女性だからといって男性と求められるものは大きく変わりません。
しかし、20代に限らずですが、女性にとっては結婚や出産、育児などライフイベントが多く発生する年代でもあります。特に出産は男性にはないライフイベントであり、まだまだ男性の育休取得が女性と比べて高くない日本では、出産や育児は女性のキャリアに影響を与えます。こうしたライフイベントを期に転職をする女性も多くいることでしょう。
そのため20代女性が転職をするときに知っておきたいポイントは「優先順位を明確にする」ということです。将来のビジョンや描いたキャリアデザインをより細かく精査し、譲れないポイントや妥協してよいポイントなどを明確にし、自身の軸に沿って転職活動を行うと良いでしょう。
20代の転職を成功させるための4つのポイント
転職の目的を明確にする
20代の転職に限りませんが、転職活動をする際はまず転職の目的を明確にすることが何よりも大切です。「年収アップ」「より挑戦できる会社に」「残業を減らしたい」「自分に合った社風を」など、様々な転職の目的が考えられますが、軸となる転職理由を明確にしておかなければ、自分にとって最適な企業を選ぶことが難しくなります。
また、内定が出た際にも立ち返る最優先事項がなければ、いたずらに悩んでしまうこともあるでしょう。入社後にこんなはずではなかった、とならないためにも自身を見つめ直すことは重要です。
実績や経験などを元に自己分析・アピール
20代の転職ではポテンシャルが評価されるとは言え、実績や経験などがなくて良いわけではありません。これまでの仕事を通して積み上げてきた実績や経験を元に、自己分析とアピールを行うことも大切です。自己分析を通して「なぜ現職を辞めるのか」「自身がどんな職に就きたいのか」「何を望んでいるのか」「今後どうなっていきたいのか」をキャリアデザインとして描いていくといいでしょう。
また面接などでアピールする際には、「なぜその実績を積むことができたか」「その経験が転職先でどのように活かせるのか」を言語化しておくと、より熱意が伝わりやすくなるでしょう。
働きながら・辞めてから 転職活動の差を知る
多くの20代の若者は転職活動が初めてですので、現職を続けながら転職活動を行うのか、退職してから転職活動を行うのか、迷う人もいるでしょう。これらはどちらもメリット・デメリットがあるため、自身にあった方法を選択する必要があります。
働きながらの転職活動は、職歴にブランク期間を作らなくて済みますし、経済的にもゆとりを持って活動できます。一方、退職してからの転職活動は、多くの時間を転職活動に充てられるため短期集中で取り組みやすいですが、転職活動中は無給となるため金銭的に焦りやすくなります。
転職エージェントの活用も視野に
自身の市場価値を客観的に把握したり、希望条件にマッチした求人を探したりすることは、なかなか難しいものです。在職中の転職活動などは活動時間が限られていることから効率的に行う必要があり、20代の初めての転職活動でこれらすべてを自分一人で行うことは容易ではありません。
そんなとき役に立つのが転職エージェントです。転職エージェントの転職コンサルタントは、多くの転職志望者や求人企業を見てきているプロフェッショナルであり、転職志望者の年齢や職歴、ポジション、スキルなどから、内定を得られる可能性の高い業界や企業に「アタリ」を付けることができます。面談を通して希望条件を伝えておけば、自身の希望とマッチしつつ内定を得られる可能性もある企業の求人を紹介してくれるでしょう。こうした役割を担う転職エージェントを上手に活用できれば、転職活動をスムーズに進めることが可能です。
ただし、転職エージェントを利用するに当たり、1点だけ注意すべきこともあります。転職エージェントは、良い転職志望者を企業に紹介して内定させることで、企業から人材紹介料を受け取るビジネスモデルを取っています。したがって、ユーザーファーストではない転職コンサルタントに当たってしまった場合、転職志望者が希望している企業ではなく「入社できそうな企業」を紹介するといったケースも起こり得る構造となってしまっています。
こうしたリスクを回避するためには、複数の転職エージェントを利用すると良いでしょう。多くの転職コンサルタントは転職志望者・企業・転職エージェントの「三方よし」のWin-Win-Winの関係を目指して取り組んでいるため、複数社を利用すればユーザーファーストなアドバイスをしてくれるコンサルタントと巡り合えるはずです。
まとめ
20代は社会人を経験し、自分のやりたいことや将来の姿を具体的にイメージすることが可能になり、今後のキャリアを考え悩むことが多くなる時期です。20代の転職はさまざまな可能性を秘めています。キャリアチェンジを行う人、キャリアアップを目指す人、ワークライフバランスを整えたい人など、さまざまな未来に向かい方向転換ができる貴重な時期だと言えます。本稿の読者の皆様が、自身のキャリアとじっくり向き合い、最良の未来に向かっていけることを祈っています。
- この記事をシェア -