【解説】カジュアル面談 ~ 目的・服装・質問例・注意点
目次
カジュアル面談とは
カジュアル面談の定義
カジュアル面談とは、応募者と企業が相互理解を深めるために行う、双方向の面談のことを指します。カジュアル面談という名の通り、合否を決める個別面談のような重々しいものではなく、リラックスしながらお互いの知りたいことを質問しあう場や、コミュニケーションを通して親交を深める場として設けられるのがカジュアル面談です。
カジュアル面談の本質は、企業側の人事や在籍社員と応募者が一対一で話す穏やかなコミュニケーションにあり、多くの場合で直接的な合否判定がないことが特徴です。
近年では多くの企業がカジュアル面談を取り入れており、カジュアルな服装で対話をしたり、飲食をしながら面談をしたりと、それぞれの企業風土に合ったスタイルが模索されています。
カジュアル面談と面接との違い
カジュアル面談と面接との違いは「選考でない」という点です。カジュアル面談はコミュニケーションを通して互いのことを知り合うことが目的であり、面接のように企業側が一方的に応募者へ質問する場ではありません。企業が応募者にアピールをしたり、応募者が企業に気軽に質問をしたりと、相互理解を目指します。
服装もビジネスパーソンとして常識的な服装である必要はありますが、スーツではないことが多く、ビジネスカジュアルや私服などが推奨されます。
また、カジュアル面談を行う場も会議室の外に出ることも珍しくありません。社内のカフェスペースでコーヒーを飲みながら面談をしたり、場合によっては社外で食事をしながらコミュニケーションを図ったりすることもあります。こうした面談の際、履歴書の持参を必要としない場合も多く、面接とカジュアル面談は大きく異なると言えます。
カジュアル面談の目的・メリット
転職潜在層の人材へのアプローチ
転職に対して前向きではあるものの実際に転職活動を行なっていない「転職潜在層」は、実は多く存在していると言われています。株式会社ビズリーチの調査によれば、現年収750万円~1,500万円未満の約3割が転職潜在層であるとしています。
こうした転職潜在層の人材は、今よりも良い企業と縁ができたり、今よりも良い条件での転職ができたりなど、条件が整えば転職活動を開始します。
売り手市場で人材の獲得競争が激化する昨今、既に転職活動をしている顕在層には多くの企業がアプローチをかけているため、奪い合いが発生します。一方、転職潜在層の人材は、まだ多くの企業からのアプローチを受けていない状態であることが期待できるため、優秀な人材の発掘のチャンスとなる可能性があります。
カジュアル面談はこうした転職潜在層へのアプローチに適しているため、今、多くの企業が積極的に活用を進めつつあります。
ミスマッチの防止
求人求職情報サービスなどを提供しているエン・ジャパン株式会社の調査によれば、転職者の8割が入社後にギャップを感じたと回答しています。加えてギャップが生じた原因としては「入社前の情報収集不足」が41%を占めていました。ミスマッチが起きてしまうと、入社後に人材が定着せず早期退職につながってしまいます。
こうしたミスマッチを防止するためにもカジュアル面談は有効です。リラックスしたコミュニケーションを通して相互理解を深めるカジュアル面談は、応募者が入社後のイメージを具体的に想像する手助けとなります。なお、入社後のミスマッチを防ぐためにも、カジュアル面談では応募者も企業もお互いに本音の部分でコミュニケーションを行うことが大切です。
ダイレクトリクルーティングの入口
ダイレクトリクルーティングとは企業の採用担当者が、FacebookやTwitterなどのSNS、社員の紹介によるリファラル採用などを通して、応募者に直接コンタクトを取る採用手法です。
ダイレクトリクルーティングは転職潜在層へアプローチできるなどのメリットがありますが、転職潜在層のビジネスパーソンに対して個別にコンタクトを取るなど採用に手間や時間がかかりがちです。
こうしたダイレクトリクルーティングの入口としてカジュアル面談は最適です。カジュアル面談を通して双方に魅力的だと感じた応募者がいたならば、後日その応募者とコンタクトを取って選考に進んでもらえれば、ダイレクトリクルーティングの成功率も高まることでしょう。
ダイレクトリクルーティングのために個別のビジネスパーソンに連絡を取るよりも、後述するカジュアル面談プラットフォームを通してカジュアル面談を進める方が効率的な場合もあるため、ダイレクトリクルーティングの強化に有効です。
カジュアル面談の質問例
経歴・実績・スキル
多くのカジュアル面談はアイスブレイクも兼ねた自己紹介からスタートします。ここで簡単に経歴や実績、スキルなどについて触れるような質問をされることが一般的です。
面接や採用選考ではないため、あくまでも会話のキャッチボールの中で経験や実績などについて聞かれていくようなイメージで、込み入った経験や過去の仕事に関する話は場が温まってきてから自然と話題に上がっていく形式が望ましいと言えます。
面接ではないとは言え、やはり企業は応募者の経歴や実績には興味津々です。応募者としては、事前にこれまでの経歴や実績、スキルについて棚卸ししておくと効果的です。
転職理由や転職活動の状況
企業の担当者にとって応募者がどの程度転職に前向きなのか、転職活動は進んでいるのかは重要な情報です。
条件が良ければと考えている程度ならば時間をかけてコミュニケーションを続ける選択肢を取るかもしれませんが、具体的に動き出している人ならばすぐに選考に進むための手順をご案内すべきかもしれません。
応募者の状況を見極めて企業側の取るべき対応を決めるためにも、企業は転職理由や転職活動の進捗状況を把握する必要があり、こうした質問をされることが多いと言えます。
会社や事業について
カジュアル面談は選考ではないため面接のような回答を求められているわけではありませんが、企業はなぜ自社に興味を持ってくれたのか、自社の事業をどう感じるかなどについて、応募者の本音のところを聞きたがっています。
あくまでもコミュニケーションの場であるカジュアル面談ですので、あまり取り繕う必要はありませんが、応募者としてはこの辺りについて何も調べずに丸腰で挑むことは相手に失礼になることもあるため、最低限の情報や知識は頭に入れておきましょう。
今後のキャリア
カジュアル面談は入社後のミスマッチを防ぐためにも利用されるため、今後のキャリアについて質問されるケースも多くあります。
応募者が思い描いている今後のキャリアプランが、企業側が求める人材像やポジションと大きく異なる場合、入社後にギャップを感じてしまい離職につながってしまう恐れがあるため、この質問は応募者と企業の双方にとって重要です。
応募者としては、事前に今後のキャリアプランを明確にしてカジュアル面談に臨みたいものです。必要に応じてキャリアデザインを行ったり、キャリアカウンセリングを受けたりしておくのも良い手です。
また、入社を急ぐあまり嘘や企業側に受けの良いことだけを伝えてしまうと、将来「こんなはずじゃなかった」という事態に陥ってしまうこともあるため、キャリアプランを正直に伝えることが重要です。
カジュアル面談は入社後のミスマッチをなくすことが目的です。ミスマッチは応募者にとっても不利益しかないため、正面から相談するのが一番です。
カジュアル面談の注意点(企業側)
選考や面接にしない
カジュアル面談は面接ではありません。応募者はまだ企業の採用選考を受けるかどうかを決めていない状態です。
ここで面接のような堅い雰囲気を作ってしまっては、堅い職場なのかとか、ストレスの高い職場なのか、などの余計な印象を応募者に与えてしまうかもしれません。
カジュアル面談の目的は相互理解です。応募者がリラックスしてたくさん話せるような雰囲気作りを大切にしましょう。カジュアル面談を始める際に今回は選考ではないことをきちんと伝えると応募者も肩の力を抜きやすいため、忘れずに伝えるようにしましょう。
応募者に興味を持ってもらう
カジュアル面談を通して応募者に好印象を与えられれば、採用選考に進んでもらえる可能性も高まります。応募者にたくさん話してもらえるように聞くことに注力しつつも、自社に興味を持ってもらえるように会話の中で魅力を伝えていきましょう。
応募者からの質問に対しても真摯に答えましょう。これまでの応募者から質問された事項をまとめておけば、面談中の応募者の不安を払拭しやすくなるかもしれません。
また、関心を示してくれた応募者により興味を持ってもらえるように、応募者へ渡す資料を準備しておくと効果的です。限られた時間だけでは伝えきれなかった魅力を伝えるためのツールとなるはずです。
応募者も企業への理解を深めたいと考えてカジュアル面談に参加しているため、リアルな情報やありのままの姿を伝えると良い反応を得られるはずです。
逆に一人よがりな説明や取り繕った話ばかりでは、応募者の興味を失ってしまったり、入社後のミスマッチの原因になってしまったりするため注意が必要です。
カジュアル面談の注意点(応募者側)
あくまでも選考の一部だと意識する
カジュアル面談は選考ではありません。しかし応募者の心構えとしては選考の一部だと意識して臨むことが大切です。
コミュニケーションの場とは言え、ふさわしくない格好で来てしまったり、言動がTPOを弁えていなかったり、事前調査もせず質問もないなど興味を持っていない姿勢を見せたりしては、悪い印象は避けられません。
こうした姿勢でカジュアル面談に臨んでいては、いざ採用選考へ進みたいと願い出たとしても断られてしまう可能性もあります。あくまでも選考の一部だと意識して、最低限の身だしなみや積極的な姿勢を見せるなど好印象を与えるように行動していくと良いでしょう。
お礼メールを送る
カジュアル面談の後には、一言お礼メールを送るようにしましょう。仕事とは言え、企業の担当者はスケジュールを空けて面談に応じてくれています。
特別なお礼は必要ありませんが、普通のビジネスの現場で新規クライアントと打ち合わせをした後に一言お礼のメールを送る程度には、お礼やご挨拶をするのが社会人としてのマナーです。
メールには、面談の機会を設けてもらった感謝や、面談を通して企業について理解できたことなどについて書いておくと良いでしょう。場合によっては面談で伝えきれなかった点について質問することも良いかもしれません。入社に対して前向きな気持ちがある場合、入社意欲がある旨を伝えても良いでしょう。
カジュアル面談のサービス
Meety
https://meety.net
Meetyは「カジュアル面談を”もっとカジュアル”に」がコンセプトの、カジュアル面談のプラットフォームです。株式会社Meetyが運営する、2020年10月にオープンした新しいサービスであるMeetyは、カジュアル面談をスムーズに進めるための多くの機能を持っています。
Meetyでは企業と応募者のマッチングがシンプルかつスピーディに行われます。Meetyのサイト上で企業が募集するカジュアル面談に対して応募者が興味を持った場合、ワンタップで「話したい」を送付することができます。企業がこれを承認すればマッチングが成立し、日程調整のうえカジュアル面談を行います。
カジュアル面談は別日に直接会って行うだけでなく、オンラインでの面談も可能です。また、参加者10人以下の小規模イベントであるグループでのカジュアル面談も行われているため、より気軽い企業と対話する場も作られています。こうした個別のカジュアル面談は、どんな担当者とどんなことを話すのかが募集ページに明記されているため、予め内容を確認したうえでの面談に臨むことが可能です。
なお、Meetyの利用は応募者、企業ともに無料です。(2022年2月現在)
まとめ
転職が当たり前になった現代。転職後のミスマッチは応募者側・企業側の双方にとって頭の痛い問題です。こうしたミスマッチを防ぐための採用手法として、カジュアル面談が注目を集めています。カジュアル面談の上手な活用は、企業にとっても応募者にとっても大きなメリットがあります。
カジュアル面談は今後ますます浸透していくことでしょう。あなたが転職を考えている、将来的に転職活動を行う可能性があるならば、カジュアル面談に備えて受け答えやマナーを知っておいても損はないでしょう。カジュアル面談を通して、あなたにより良い企業との御縁がつながることを願っています。
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