在職中からできる転職活動の進め方 8つのステップ
在職中の転職活動はメリットが多い
初めての転職活動には不安がつきものです。「転職しよう!」と考えたとき、どのように転職活動を進めたら良いのか最初から知り尽くしている人はほとんどいないことでしょう。本稿は、そんな初めて転職活動する皆様に向けて、後悔しないための転職活動について基本からお伝えしてまいります。
まず、転職活動を進めるにあたり最初に考えるべきことは、「在職中に転職活動をするのか」「退職してから転職活動をするのか」という選択です。どちらにもメリット・デメリットがありますが、転職活動初心者の方は在職中に転職活動を進めるスタイルをお勧めします。
転職活動は想定しているよりも時間がかかります。退職後の転職活動では、なかなか内定が貰えない中、徐々に減っていく貯金や生活費に焦りを覚えたり、自己肯定感が下がったりと、冷静な転職活動ができなくなってしまう恐れがあります。在職中の転職活動であればこうした焦りに左右されにくい環境でいられるため、転職活動の初心者にはお勧めというわけです。
厚生労働省が発表した「平成27年転職者実態調査の概況」によれば、転職活動が3カ月未満で完了した人は46.5%でした。転職活動に3カ月以上かかっている人も珍しくないばかりか、中には2年以上かかった人すらいることがデータからわかります。一般的には3カ月から半年を目安にしておくと良いとも言われます。
こうした転職活動にかかる期間は年齢が上がるにつれて伸びる傾向にあり、20代と比べて30代・40代などはより時間がかかってしまいます。また、近年では新型コロナウイルス感染症の影響もあり、選考スケジュールがスムーズに進まないケースも散見されるため、転職活動の期間がさらに伸びてしまうことも懸念されます。このように長期化する転職活動のリスク対策として、在職中の転職活動は安定感があります。
また、転職市場での自身の価値を知っていくうちに、やはり現職でもう少し頑張ってみようと思い直す方も珍しくなく、立ち止まって考えられるという意味でも在職中の転職活動はさまざまな選択肢を持っておけるためお勧めです。
ただし、在職中の転職活動は現職の仕事と転職活動の両立が難しく、時間を効率的に使う必要があります。どのようにして現職で働きながら転職活動を進めるのかについては、本稿でご紹介していくので参考になれば幸いです。
基本的な転職活動の進め方
前章でもお伝えした通り、転職活動は効率的に時間を使い進めていく必要があります。一般的に転職活動と言うと求人に応募して面接を受けることを中心に考えがちですが、それと同じくらい事前準備が大切になります。この章では転職活動の各フェーズを8つのステップにわけて、それぞれのポイントを説明していきます。まずは転職全体の流れを掴みましょう。
転職活動STEP 1 ~ 自己分析
転職活動の最初のステップは「自己分析」です。新卒採用の就職活動でおなじみの自己分析ですので、学生時代に行ったことがある方も多いでしょう。
転職活動の自己分析も基本的な流れは同じですが、既に社会人経験のあるビジネスパーソンの転職活動では経歴や職歴の整理、経験・スキル・実績などの棚卸しなども行います。自身の転職理由を深掘りしたり、転職先に求める条件を決めたりといった考えの整理も必要です。一般的に以下の項目は最低限きちんと整理しておくと良いでしょう。
- 経歴(最終学歴、転職歴など)
- 職歴(経験職種、経験業務など)
- スキル(業務で培った技術や知識、資格、言語能力など)
- 実績(上げた成果、表彰、課題解決など)
- 人間性(どんな性質か、どんなことを優先し何が嫌か、将来どうなりたいかなど)
- 転職理由(なぜ転職するのか)
- 希望条件(仕事内容や給与など条件として外せないこと)
今までの転職歴などの経歴は、転職活動であっても変わらず問われます。職歴はどのような仕事や役割を経験して何を学んだかの判断基準になるため、同様に重視されます。また、それらの業務を通してどんなスキルや能力を身に付けたのか、どのような実績を積み上げてきたのか、などは即戦力が求められる30代以降の転職活動では必ず問われます。
第二新卒などの若手では人間性やポテンシャル、熱意などに関する質問が中心となりますが、30代や40代の転職活動では経験やスキルの棚卸しができていなければ面接官が求めている情報を適切に伝えることが難しいため、必ず自己分析で整理しておく必要があります。
転職理由や希望条件の整理は、転職の軸となる動機に関わる部分を明確化し、後悔しない転職活動を実現するために重要な工程です。どんな理由で転職するのか、最低限どんな希望条件を満たせば転職理由となった原因を解消できるのか、を把握することでミスマッチを減らすことができます。
こうした判断基準がないまま転職活動を進めてしまうと、仮に内定を得て転職に成功したとしても、すぐにこんなはずではなかったと感じ、また転職しなければならなくなってしまいます。年齢に対して転職回数が多すぎる人材は求人企業側も避ける傾向にあるため、自身のキャリアに傷を残さないためにも転職理由や希望条件を整理しておくことは重要だと言えます。
転職活動STEP 2 ~ 情報収集・業界研究
転職活動のSTEP2は「情報収集・業界研究」です。現職と同業界であれば既に業界については詳しいはずですが、未経験の業界に飛び込む場合は綿密なリサーチが欠かせません。また、各業界の企業は無数にあるため、自身の希望条件にマッチする企業を探し、その企業の事業内容や風土・カルチャー、業績や実績、求人内容などについて深く研究する必要があります。
一般的に20代の転職であれば未経験の業界や職種への転職も可能なため、ゼロから新たな業界について調べることがあるかもしれません。一方、30代以降の転職ともなると今まで培ってきた経験やスキルを元に採用されるため、未経験の業界のリサーチはあまり必要なく、同業界の企業について調べていくことが多くなるでしょう。
業界研究や企業研究などのリサーチにはさまざまな情報源を活用します。転職サイトなどの求人情報を閲覧することはもちろん、企業のコーポレートサイトや運営するメディアサイト、公式SNSなどもチェックすると良いでしょう。最近では企業の社員がSNSでさまざまなことを発信しているケースもあるため社風を知るためには役立つかもしれません。また、上場企業ならばIR資料、四季報にも有益な情報が載っていることもあります。
幾度もビジネス書にもなった兵法書『孫氏』にも、「彼を知り己を知れば百戦殆からず」とあります。己を知るのが自己分析であるならば、彼を知るのは業界や企業の研究に他なりません。綿密なリサーチはビジネスの基本でもあります。転職活動でも、情報が武器になることは変わらないと考え、十分なリサーチを行いましょう。
転職活動STEP 3 ~ 求人サイト・転職エージェントに登録
転職活動のSTEP3は求人サイトや転職エージェントへの登録です。これらを上手に活用することは、効率的な転職活動に役立ちます。
求人サイトと言えば、リクナビ転職やマイナビ転職など求人数の多い総合的な大手サイトが有名です。こうした大手求人サイトはその求人数の多さゆえに自身とマッチする企業がある可能性も高く、転職活動をする上では登録必須と言って良いでしょう。求人サイトは複数登録して幅広く情報を集めることが基本です。まずは複数の大手求人サイトに登録しておくと良いでしょう。
また、特定の業界や職種に特化した求人サイトも存在しており、大手求人サイトにはなかった求人が掲載されているケースも多くあります。自身が高いキャリアを積んでいる場合などは、ハイクラスに特化した求人サイトなども存在しています。自身に合った特化型サイトがあるならば、いくつか登録してみると良いと言えます。
転職サイトだけでなく、転職エージェントへの登録も検討しましょう。転職サイトは自分から能動的に情報を取りに行かなければならないのに対し、転職エージェントでは担当者が登録者の経験やスキルを客観的に評価した上でマッチする求人を紹介してくれるため、上手に活用すれば効率的に転職活動を進めることが可能です。
転職エージェントでは、登録後に面談が行われて専任コンサルタントが付きます。転職コンサルタントは転職志望者を見るプロです。今までのキャリアから人材の市場価値を客観的に把握し、登録者が内定を得られる可能性のある求人案件を紹介してくれます。こうしたサービスを最後まで無料で受けられる点も魅力でしょう。
とは言え、全てのコンサルタントがあなたの人生と真剣に向き合って相談に乗ってくれるとは限らないため、転職サイト同様、複数社に登録して複数人のコンサルタントからアドバイスを貰うことも検討すると良いでしょう。転職エージェントについては、本サイトの別記事「転職エージェントとの良い付き合い方」を読んでいただければ幸いです。
転職活動STEP 4 ~ 応募書類の作成・求人への応募
転職活動のSTEP4は求人への応募です。求人サイト・転職エージェントへの登録が済んだら、いよいよ求人を探していきます。求人サイトならば業界や職種、地域などの条件で絞り込んで求人を探します。転職エージェントであれば希望条件を伝えて該当する求人を紹介してもらいましょう。
求人を探す際には、その求人が自己分析で出した転職の目的や希望条件にマッチしているか、自分自身のスキルや経験が企業の求めている人材と言えるかなどを判断していきます。あまりに経歴とかけ離れた条件の案件を選んでも内定を貰える可能性は低いため、客観的な判断を心がけましょう。
興味のある企業の求人がみつかったら積極的に応募していきましょう。応募の際に必ず必要となるのが履歴書や職務経歴書などの応募書類です。自分自身の第一印象となる大切な書類ですので、正しい情報を丁寧に記入しましょう。
初めて転職活動をする場合、履歴書や職務経歴書をどのように書いたら良いのか分からない、という方も多いでしょう。履歴書や職務経歴書の書き方は、書籍はもちろんネットにも多くの情報が掲載されていますので参考にしてみましょう。転職エージェントを利用していた場合は、担当の転職コンサルタントが履歴書や職務経歴書の書き方を指導してくれる場合もあります。転職コンサルタントは多くの履歴書や職務経歴書を見てきているので、適切なアドバイスが貰える可能性が高いです。
転職活動STEP 5 ~ 面接を受ける
転職活動のSTEP4で書類選考を通過したら、STEP5はいよいよ面接です。当たり前ですが、面接は合否を分ける最重要ステップです。きちんと準備をして挑みましょう。
求人サイトから応募した場合、企業と面接のスケジュールを直接調整する必要があります。転職エージェントを利用している場合は転職コンサルタントが代行してくれるはずです。
多くの面接では転職理由、志望動機、自己PRなど無難な質問などを聞かれるほか、30代以降の転職の場合は実務経験やスキルなどについてより踏み込んだ専門的な質問が投げかけられることもあります。STEP1の自己分析やSTEP2の企業調査をもとに、自身の考えをきちんと伝えていきましょう。逆に第二新卒などの若手では、熱意やポテンシャルなどフレッシュさが評価されることが多いため、実務的な質疑など踏み込んだところまでは求められないこともあります。
また、新卒での就職活動と異なり、転職活動は社会人としてのマナーやコミュニケーション能力をより厳しく見られます。ビジネスの現場で取引先や業者など外部の人間と接してきた経験があるはずですので、初対面の面接官相手でも相応のコミュニケーションが求められます。
どうしても不安な場合、転職エージェントのコンサルタントに相談してみれば、担当者によっては模擬面接などを行ってくれることもありますので、まずは聞いてみると良いでしょう。
転職活動STEP 6 ~ 内定獲得
面接を無事に通過すれば企業から内定通知が届きます。面接から内定までの期間は企業によって異なりますが、多くの場合事前に「何日までにご連絡します。」などと伝えてくれるので確認しておきましょう。転職エージェントを利用している場合、この辺りの調整は転職コンサルタントが代行してくれる場合があります。
企業から内定通知が届いたら、内定を承諾するか辞退するかの判断を1週間以内に行います。そのため他に志望度の高い企業などがあれば、事前に面接日程を調整するなど企業側に迷惑がかからないような配慮が必要です。また複数社から内定を貰っている場合は、どちらがより自分に合っているかを、これまでの自己分析や印象から納得するまで考え結論を出すと良いでしょう。
内定獲得後に入社の意思が明確になれば、最後に「労働条件確認書」や「オファー面談」を通じて、契約期間や賃金、休日などの労働条件に自分の希望と差異がないか確認します。もし差異があれば担当者に必ず確認し、調整するようにしましょう。内定獲得がゴールではなく、その先にも確認することがあることを覚えておいてください。
転職活動STEP 7 ~ 退職手続き・引継ぎを行う
正式に転職先に入社の意思を伝えたら、次は現職への退職手続きや引継ぎ作業を行います。立つ鳥跡を濁さずと言うように、現在の職場とトラブルにならないように最後まで誠意を持って引継ぎ対応をしましょう。
当たり前のことですが、現職への不平不満をぶちまけて一方的に退職するなどは避けるべきです。あなたの転職先が同業界の場合などは、また関わりをもつ可能性も十分にあります。思いのほか世間が狭く後から困ったことになった、といったことはビジネスパーソンとして避けるべきです。
退職手続きや引継ぎの期間は1カ月程見ておくと良いでしょう。有給の残日数などを含めるとさらにかかることもあります。あらかじめ残りの有給日数や退職できそうな日を調べておき、内定先と入社日を調整しておくのがお勧めです。気持ちよく転職先に行くためにも、きちんと円満退職に務めましょう。
転職活動STEP 8 ~ 転職先に出社
退職手続きを滞りなく済ませた後は、これまでお世話になってきた社内の人や取引先の人などに挨拶をしておくといいでしょう。同業界であれば今後もどこかでお付き合いの可能性がありますし、別業界に移ったとしても何にかの御縁があるかもしれません。
また、残された有給の消化期間中などはリフレッシュするだけでなく、転職先の業務で必要になる知識やスキルについて勉強をしておくことが望ましいです。自身のスキルアップにつながることはもちろんのこと、事前準備ができていれば転職後の精神的なゆとりにもつながります。転職は一つの節目ですが、キャリアはこの先も続いて行くため、できることはしておいた方が良いと考えてください。
転職はひとつの区切りではありますが、ゴールではなくスタートです。できる限りの準備を行い、円満に転職先に入社できれば、早期の立ち上がりが出来て、その後の仕事もしやすくなります。
求人の探し方・応募企業の選び方
総務省の報道資料「平成26年経済センサス 基礎調査(確報)」によれば、日本の企業数はおよそ410万社とされています。これら全ての企業が求人を出しているわけではありませんが、転職志望者は多くの企業の中から応募企業を探さなければなりません。
本稿の冒頭でお伝えした通り、在職中の転職活動は時間の使い方が成否を分けます。やみくもに応募していてはなかなか内定を得られず時間を浪費してしまいます。まずは自身の希望条件や経験などに合った企業を選別するために、前章の「転職活動STEP 1 ~ 自己分析」と「転職活動STEP 2 ~ 情報収集・業界研究」で説明した自己分析と情報収集を行いましょう。
そうして見えてきた要素をもとに、求人サイトで絞り込み検索をかけていくのが求人の探し方の基本です。求人サイトは大手総合サイトであれ特化型サイトであれ、膨大な数の求人情報が掲載されているため、効果的な絞り込みを行わなければなりません。業界や職種の絞り込みや勤務地での絞り込み、詳細条件での絞り込みやキーワード検索など、複数の絞り込み機能を積極的に利用しましょう。首都圏などの大都市圏の場合、かなり強めに絞り込んでもまだまだ多数の求人情報が表示されるはずです。
絞り込んで表示された企業の中から、自身の希望条件にマッチする企業や興味を持てそうな企業をリストアップしていきましょう。リストアップした企業は、求人サイトの情報を詳しく見ることはもちろん、企業の採用サイトやコーポレートサイト、公式SNS、上場企業ならば四季報などにも目を通すと多様な情報が手に入ります。また、同業界への転職ならばリストアップした企業で働く知人がいることもあるかもしれませんので、直接話を聞いてみても良いでしょう。どんな企業でも生の声は参考になるはずです。
なお、リストアップした企業の情報を集める際に注意したい点が1つあります。最近では多くのユーザーがSNSで自由に発言をしているため、有名な企業であればあるほど良くない評価や噂をSNS上で目にすることが増えてきます。インターネットはどちらかと言えばネガティブな感情が言語化されやすい特性があるため、SNSの風評をそのまま信じるのは誤った印象につながりかねません。もちろん中には真実も含まれているでしょうが、虚実が入り乱れていることを理解しつつ多様な情報から総合的に判断する癖をつけておくと良いです。
また、転職エージェントは非公開求人と呼ばれる求人サイトには掲載されない求人を抱えている場合が多いため、転職エージェントに登録している場合は担当者に聞いてみても良いでしょう。
こうして集めた情報をもとに、自身に合っていると思われる企業をいくつか選定し、それらの企業の募集内容に自身の経験やスキルがマッチすると判断された場合、積極的に応募しましょう。縁がつながれば、そこがあなたの未来の職場になるかもしれません。
求人サイト・転職エージェントの選び方
求人サイトの選び方
前述のように、現在日本には多くの求人サイトが存在しています。総合型の大手求人サイトや業界特化型の求人サイト、外資系に強い求人サイトなど、各サイトに特徴があります。そのためどのサイトを選べば良いか分からない、何社登録すれば良いかわからない、などと悩む人も多いでしょう。
まず、代表的な求人サイトの種類として以下があることを知りましょう。これらはあくまで一例であり、これらに属さないニッチなサイトも数多く存在しています。
- 総合型の大手求人サイト
- 業界・職種特化型の求人サイト
- 第二新卒専門の求人サイト
- 女性専門の求人サイト
- ハイクラス・エグゼクティブ専門の求人サイト
- 求人検索エンジン
- ソーシャルリクルーティングサイト
- リファラル採用サイト
- 公的な職業紹介サービス(ハローワーク)
これだけ種類があり、それぞれの中に多数のサイトが存在するため、初めての転職活動ではどのサイトに登録すれば良いのか迷うのも当然です。時間が限られている在職中の転職活動であればなおさら全てに登録して情報を満遍なく見ている暇はありません。
リクナビNEXTが行った「転職サイトや転職エージェントの登録実態に関するアンケート」によれば、3社以上の転職サイトや転職エージェントに登録したと回答したユーザーは40.1%と多く、複数社のサービスを利用することがごく一般的になっています。
そこでひとまず初心者にお勧めしたいのが「ひとまずいくつかの大手求人サイトに登録しつつ、特定の業界を狙っているのであれば業界特化型の求人サイトも1~2個登録しておく」というスタイルです。
大手求人サイトは扱う求人数が圧倒的に多く、幅広い求人に出会えます。2~3社登録するだけでも世の中に出回っている求人の多くにアプローチできるため使わない手はありません。採用する企業側も、多くの転職志望者に求人を見てもらえれば良い人材と出会える可能性が高まるため、掲載料の負担を許容できる企業であればわざわざ大手求人サイトへの求人掲載を避ける理由はありません。大手求人サイトの中にはスカウトサービスを完備しているサイトもあり、あなたの経歴に魅力を感じた企業からオファーが届けば、考えてもいなかった企業と出会えるかもしれません。
業界特化型の求人サイトは、大手求人サイトには掲載されていない求人が載っている可能性があるため、特定の業界での転職を考えている方は登録しておきましょう。業界特化型の求人サイトの中には、大手求人サイトと比べて掲載料が安いものもあり、大手求人サイトへの掲載を断念していた企業が求人を掲載しているケースもあります。狭く深く掘り下げた情報を探すために業界特化型の求人サイトの活用は有効だと言えます。
転職エージェントとの上手な付き合い方
ここまで解説してきたように、転職エージェントは自身の経験やスキルを客観的に評価した上で、非公開求人を含めた膨大な求人情報の中からマッチする求人を厳選して案内してくれるだけでなく、面接の日程調整、内定後の条件交渉まで無料でサポートしてくれるため、転職活動において大変頼りになる存在だと言えます。
求人サイト同様、数多くの転職エージェントが存在する中からどのように転職エージェントを選ぶのかは難しいところですが、基本的には抱えている求人数が多い転職エージェントや、自身の希望する条件に近い求人案件を抱えている転職エージェントを選び、ひとまず登録してみると良いでしょう。
転職エージェントの登録時には履歴書や職務経歴書に該当する情報を入力することになります。新規の転職志望者が登録すると、転職エージェントはすぐにその情報を確認して担当者から折り返しの連絡を入れるようになっています。この段階で転職エージェント側は登録者の経歴やスキルを大まかに把握し、このスペックならばこの求人を紹介できそうだ、という当たりを付けています。登録後の連絡が積極的な印象ならば紹介できる求人案件がある可能性が高いため、担当者との面談に進むはずです。
逆に、その転職エージェントがカバーする求人案件と登録者の経歴がマッチしていなかった場合、やんわりとお断りされることもあります。お断りというとショックを受けそうですが、これはあまり気にする必要はありません。転職志望者側も転職エージェント側も限られた時間の中で活動をするためには、見込みがない求人に時間をかけている暇はなく、最初の段階でお断りされることはむしろ無駄がないとも言えます。
こうして登録して面談をしてみれば、転職エージェントやその担当者との相性なども見えてくるはずです。「キャリアアップに向けた転職エージェントとの良い付き合い方」でも説明しましたが、転職エージェントは企業に人材を採用させることで企業から手数料を貰う人材紹介業にあたるビジネスのため、あまり良くない担当者に当たってしまった場合、望んでいない企業を強く勧めてくるケースもありえます。
こうしたトラブルを避けるためには、2社以上の転職エージェントに登録し、相性の良さそうな担当者を見つけると良いでしょう。複数の転職エージェントに登録することはネガティブな意味だけでなく、さまざまな角度から求人の紹介やアドバイスを受けられるという意味でも有用ですので、積極的に検討してみましょう。
転職活動を有利に進めるために知っておきたいこと
20代の転職活動では
20代前半の転職活動ではポテンシャルが評価されます。社会人経験のある25歳くらいまでの転職志望者を「第二新卒」と呼び、この期間は実務経験ではなく将来性が見られる特殊な期間と言えます。ほぼ未経験に近いため完全未経験の業界や職種にも飛び込みやすい時期です。
20代後半の転職活動では、ポテンシャルに加えて実務経験やスキルなどが問われ始めます。20代前半で求められた熱意ややる気ばかりを押し出していては、なかなか内定を得られなくなってきます。経験が問われるということは、未経験の業界への転職も徐々にデメリットが付きまとうようになるのもこの時期だと言えるでしょう。
全体として20代の転職はキャリアチェンジを行える最後のチャンスだと考えて進めると後悔が少なくなるはずです。30代以上となると全くの未経験で飛び込むという判断はなかなか受け入れてもらいにくくなります。将来のキャリアを考え、じっくりキャリアデザインと向き合ってみることをお勧めします。
関連記事:20代の転職のポイント!前半・後半の違いと知っておきたいこと
30代の転職活動では
30代の転職活動では、これまでの経験とスキルが重視されます。30代ともなれば10年近い実務経験を積んできたはずです。そうした実務経験を転職先でどう活かせるかが問われます。経験や能力が全くかみ合わない企業がわざわざ30代を採用するメリットは少なく、未経験で採用するならば20代の若手で十分です。30代は全くの未経験に飛び込むことは歓迎されにくい年齢だと言えます。
今までの実務経験やスキル、技術、専門知識などが、求人企業が求める人材像と噛み合っているかを客観的に判断して応募していくと、30代の転職は上手く進むでしょう。
また、30代以降の転職活動は3カ月から半年などの長期に渡るケースが多いため、本稿冒頭でお伝えした在職中の転職活動がより意味を持ってくることも覚えておきたいところです。
関連記事:30代の転職 成功の秘訣!上手に転職するための5つのポイント
40代の転職活動では
40代の転職活動では高い経験とスキルが求められます。40代ともなれば現職でも役職が付いている人が多く、豊富な経験と高いスキル、幅広い知識、マネジメント能力などが身についていることを前提とされます。もちろん、求人もそれなりのポジションが用意されていることも増えてきます。
厳しいようですが、40代の転職活動では有能な人材にはさらに良いポジションが用意され、そうでない場合はなかなか厳しい結果となることが多いと言えます。マネジメント層の採用となると企業もそれなりに慎重になっており、豊富な経験や高い能力が求められることを覚えておきましょう。
なお、30代同様、40代の転職活動は半年以上の長期に渡るケースが多く、家庭を持っている転職志望者も多いことから、やはり在職中の転職活動が望ましいと言えます。
関連記事:40代の転職 成功の秘訣!不利を覆すために知っておきたいこと
まとめ
転職活動の全体の流れから、求人サイトや転職エージェントの選び方、各年代の転職活動のポイントまでを解説してきました。ここまで読んでくださった読者の皆様は、きっと「転職活動は思った以上に大変そうだ」と感じたことでしょう。長く忍耐強い活動が求められる転職活動ですので、現職を続けておきながらじっくり進めていくと良いでしょう。
とは言え、本稿でご紹介した一般的な流れの転職活動とは異なる方法、リファラル採用やヘッドハントなどの御縁によって円滑に転職が成功するケースも珍しくなくなってきました。転職の方法に唯一の正解などはありません。
あなたにとって一番だと思える方法で、ベストな企業と出会えることを願っています。
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