30代の転職 成功の秘訣!上手に転職するための5つのポイント

30代の転職の市場と動向

30代の転職は人生の大きな分岐点と言えます。なぜならこの先20年のキャリア形成を考えると、キャリアアップやキャリアチェンジができる最後のチャンスと言っても過言ではないからです。

30代の転職市場は「売り手市場」が続いています。転職市場全体の動向としては、厚生労働省の一般職業紹介状況によれば、有効求人倍率は2021年1月時点でも1.10倍とコロナ禍においても「1」以上の数値となっています。コロナ以前と比較すると数値は減少傾向にありますが、まだまだ多くの求人が出ているのが現状です。とくにIT業界、介護業界、建設業界などの業種は有効求人倍率が高い状況です。

また30代に限った転職市場においても、転職市場は回復傾向にあります。2008年に起こったリーマンショックの影響で転職市場は大きく冷え込み、一時は0.5を割る数値にまで落ち込みましたが、以降は徐々に回復しており、2014年以降は1を超える倍率です。

今後はwithコロナに対応した新しい働き方が主流になると考えられており、ITエンジニアなどの社内のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進できる人材などが、市場では求められると予想されています。

総括すれば、30代の転職市場はコロナ禍の影響もあり有効求人倍率が若干落ち込んでいますが、まだまだ売り手市場が続いていることに加え、今後の求人数増加も見込まれているため、希望の転職が実現できる可能性も十分あると言えるでしょう。

30代で転職はできる?やはり不利なのか?

これまで30代での転職は難しいと考えられてきました。根拠となっていたのが、「35歳の壁」と言われる転職における35歳限界説です。厚生労働省の「令和元年上半期雇用動向調査結果の概要」によれば、35歳以降の入職率は20代後半と比較すると約半分に下降しています。

一方で転職エージェントサービスのdodaの調査によれば、2020年に転職した人の平均年齢は32歳で男女共に過去13年で最も高い年齢だったとしています。さらに30歳~39歳の割合は36.2%となっており、20代後半に転職成功者の割合と遜色ない数字です。そのため30代の転職は、ポテンシャル採用が多い20代後半ほど簡単に転職ができるわけではないが、これまでの経験やスキルがマッチする業界や企業であれば大きなチャンスがあると言えます。

そのため経験やスキルがきちんと積み上げられている人であれば、キャリアアップや年収アップなどの上向きな転職も考えられます。一方で30代の転職は経験やスキルが前提であることも押さえておく必要があるでしょう。

30代の転職のメリット・デメリット

メリット

30代の転職の大きなメリットは「即戦力として採用されやすい」ということです。

30代の転職ではこれまでの経験やスキルから人材を判断して、企業側は即戦力になることを期待して採用します。そのため企業側のニーズがこれまで積み上げてきたものと合致すれば高く評価され、成功の確率は上がるでしょう。また採用後もこれまでのスキルが発揮できるポジションや役職に就くことも考えられ、キャリアアップや年収アップを目指せる可能性も十分にあります。

20代にはない経験とスキルという強みを活用して即戦力と考えられるのが、30代のメリットです。

デメリット

30代の転職のデメリットは「未経験分野への転職が難しい」ことです。前述のように、30代の転職ではこれまでの経験やスキルが採用時に重視されるからです。

20代であれば未経験でも熱意やポテンシャルを見込まれ、入社後に育て長く働いてもらうことを考え採用しますが、企業が30代の転職者に求めことは即戦力になれる経験やスキルです。そのため30代はこれまでの経験やスキルを転職先の会社でどう活かせるかが重視されます。

未経験分野だと企業が一から育てることになり、未経験者の20代と30代を比較すれば、育成にかかるコストやポテンシャルなどの面から20代が重視されてしまいます。未経験の業界や業種を目指す場合は、難易度が上がってしまうのが30代の転職のデメリットです。

30代の転職では年収は上がるのか、下がるのか

30代の転職において年収が上がるのか、下がるのかが気にならない人はいないと思います。家族がいる人であればなおさらでしょう。

2019年に厚生労働省が調査した「転職入職者の賃金変動状況別割合」によれば、転職した30~34歳の44.7%、35~39歳の39.5%が、年収が増加していると回答しています。30代全体を見れば年収アップを実現している人は多くいる結果となっています。一方で年収が減少したと回答した割合は、30~34歳で29.2%、35~39歳で29.6%回答している点も見逃せません。

こうした年収アップを実現している転職者の多くは前述したように、経験やスキルを前提として転職を行なっていることが考えられます。また現職よりも年収の高い業界などへの転職に成功した転職者もいるでしょう。

30代からの転職は経験やスキルが重視されるため、選択によって年収が上がるか、下がるかが変わってきます。

30代の転職の活動期間の目安

30代の転職活動期間の目安は「3ヶ月~半年」と言われています。一般的に転職活動は「自己分析」や「情報収集」を行い、履歴書などの書類を作成、希望の求人に応募します。そして面接、内定、引き継ぎを行い退職という流れです。

30代でも転職活動が3ヶ月以内で終わるという人もいますが、採用企業側も即戦力となれる人材を採用するためにしっかり経験やスキル、能力などを見極めようとするため、20代の転職と比べて選考のハードルは上がるのが実情です。また、昨今のコロナ禍によって選考スケジュールが遅延するなど選考期間が延びてしまっている企業もあるようです。

そのため転職活動の期間は自身の考えよりも少し多めに見ておくといいでしょう。見切り発車でスタートしてしまい、先に現在の職場を退職してしまうと無給で転職活動を続けなければいけなくなります。そのような状況になってしまうと精神的にもゆとりが持てなくなり、満足する転職ができない可能性が高まってしまいます。不安なく転職活動を行うためにも、現職の仕事と並行して行うことが望ましいと言えるでしょう。

30代で未経験の業界・職種に転職できるのか

結論から言えば30代で未経験の業界・職種への転職は難しいことが現実です。

繰り返しになりますが、30代の転職者に求められているものは経験やスキルなどの現時点での戦力であり、20代のようなポテンシャルではないからです。厳しいようですが、企業側には30代の転職者を20代の転職者と同じように未経験から育てる理由はありません。そのため、これまで積み上げてきた経験やスキルが全く役立てられそうにない未経験の業界や職種に30代で転職することは難しいと言えます。

しかし実際には30代でも異業種に転職している人もいます。実際に異業種への転職に成功した人は、これまでの経験やスキルを転職先の異業種でも求められている場合が多いです。例えば、これまで培ったマネジメント経験を転職先の異業種で活かす、今まで学んできた専門分野の経験や知識を活かして該当分野へのコンサルティングを行っているコンサルティングファームに転職する、などであれば異業種への転職も可能でしょう。

自身の経験やスキルが異業種で求められているものと合致する場合は、異業種に転職することも不可能ではありません。しかしやはり前提として、これまでに経験やスキルが積み上げられてきていることが求められることは忘れてはいけません。

30代の主な転職理由

転職理由1:業務内容

type転職エージェントが行った調査によると、30代の主な転職理由として「業務内容」や「キャリアチェンジ」と回答した転職志望者が多かったと言います。とりわけ「業務内容」と回答した転職志望者は全体の48.8%にも上ったとのことです。

自身が現在行っている業務内容に不満があり、現在の会社では自身のやりたいことができないと判断して転職を考えているということです。また、業務内容そのものに加え、仕事量やそれに対する待遇なども含めて不満を持っている転職志望者も多いでしょう。

転職理由2:スキルアップ/キャリアチェンジ

スキルアップやキャリアチェンジを目指して転職を行う30代の転職志望者は多くいます。「これまでの経験を活かして新しい世界に挑戦をしてみたい」など前向きな理由での転職です。スキルアップやキャリアチェンジを目指すには、経験やスキルが積み重なっていることが前提にはなりますが、より自身を高めたいと考えている転職志望者が多いと言えます。

また30代になってくると現在の職場や仕事にも慣れてくるため、環境を変化させたいと考えている人も多いようです。

転職理由3:ライフスタイルの変化

30代は結婚や出産、育児、引越しなどライフスタイルの変化が多い年代です。とくに女性は、出産や育児によって、これまでの職場から残業の少ない仕事へ転職する、自宅から近い職場に切り替えるなどライフスタイルに合わせて変えていく人も多いです。自分自身のみならず家族などの状況を踏まえて転職を決断することも多い年代と言えるでしょう。

30代の転職を成功させるための5つのポイント

在職中に転職活動を進める

30代の転職活動は在職中に進めていくことをお勧めします。30代の転職活動は3カ月~半年以上の時間がかかるため、退職後に転職活動をした場合、資金面で苦労してしまうなど生活への影響が大きいからです。資金面が気になりはじめると精神的な余裕もなくなってしまいますし、家庭を持っている場合などは家族を養うためにも収入が途絶えてしまうことは問題です。そのため在職中に転職活動を進め、内定を貰ってから退職するのが安全と言えます。

キャリアプランを明確にしておく

30代の転職は今後のキャリアに大きな影響を与えると言えます。30代までと比べ、40代以降の転職はより厳しくなることに加え、キャリアプランの変更も難しくなってくるからです。30代の転職した転職先が今後長い年月働いていく業界・業種となる場合が多いため、経験・スキル・知識など自分自身ができることを正しく把握し、キャリアプランを明確にした上で転職活動を行うことが大切です。

将来像を描くためにはキャリアデザインを行い、「なぜその会社に行くのか」「その会社と自分の考えにミスマッチはないか」など、自分自身で明確に回答できるようにしておくといいでしょう。

培ってきた経験を活かせる企業を選ぶ

繰り返しになりますが30代の転職では経験やスキルなどが求められます。やる気やポテンシャルなどを訴えて通るのは20代までであり、30代で重視されるのは経験やスキルです。

そのためキャリアデザインを描いた際に確認した、自身の経験やスキルなどを活かせる企業、即戦力として働ける業界や企業を選ぶと転職成功の可能性が高まります。自身の経験やスキルが活かせる企業に入社できれば、キャリアデザインで描いた将来像に近づくことができます。合わせて入念な企業研究も行えれば、よりミスマッチなく進められるでしょう。

転職理由を明確に整理しておく

30代の転職に限りませんが、なんとなく現在の会社を辞めたいから転職をするのではなく、転職理由を明確に整理しておくことは大切です。とりわけ30代の転職の場合、多くある希望条件のすべてを満たすことは難しいからです。自身が転職をする理由はなんなのか、将来どのようなキャリアを描きたいから転職するのか、などを明確にしておきましょう。

ある条件は満たせるけれど、別の条件が満たせない企業から内定を貰った場合などに、自身の転職理由や条件が整理されていなければ必要以上に迷ってしまったり、判断を誤ってしまったりすることが考えられます。自身の転職理由や希望条件を整理し、優先順位を把握することは、妥協点や着地点を見極めることに役立ちます。

専門家のアドバイスを受けることも検討する

30代の転職活動は在職中に進めると安全であることは先述した通りです。その際に考えなくてはいけないのは「時間の使い方」です。現職の仕事を続けながら転職活動を行うことは大変なエネルギーを要します。退社後の時間や休日などの限られた時間を、効率的に使えるか否かが成否を分けるとも言えます。

時間を有効活用するには、転職エージェントなど専門家のアドバイスを受けることも検討するといいでしょう。転職エージェントは自身の経歴やスキルを客観的に判断した上で、マッチする企業を厳選して紹介したり、客観性を持った専門家としてのアドバイスをしてくれたりと、効率的に時間を使うためのサポートをしてくれます。

とは言え、転職エージェントを使えば全てが上手くいくわけではなく、転職志望者の希望に沿わない「入社できそうな企業」を紹介されてしまうケースもあるため、良く見極めた上で利用する必要があると言えます。転職エージェントについてはこちらの記事をご一読いただくと良いでしょう。

まとめ

30代の転職活動は20代よりもよりシビアに見られるのが現実です。これまでの経験やスキルを活かした転職活動となり、ポテンシャルなどは二の次になってしまうからです。一方で自身の経験やスキルが活かされば、年収アップや待遇アップも期待ができます。30代には30代の武器があります。これまでの経歴やスキルを活かし、そしてこれからのキャリアプランを描いて転職活動を行えれば良い結果が生まれる確率は高まるでしょう。

- この記事をシェア -

* AGENTS *

人気の転職エージェント

人気の転職エージェント