40代の転職 成功の秘訣!不利を覆すために知っておきたいこと

40代の転職の市場と動向

40代の転職市場は過去と比較すると非常に盛り上がっています。根拠となるのは、厚生労働省が発表している「一般職業紹介状況 年齢別労働市場関係指標(実数)」です。
このデータでは40代の有効求人倍率は平成28年時点で1.185倍と「1」を超え、過去最高を記録しています。平成24年の40代有効求人倍率0.68倍と比べ、大きく数値を伸ばしていることが分かります。

しかし新型コロナウイルス感染省の影響で、40代の求人数は多少の減少傾向が見られていることも事実です。また有効求人倍率は高いですが、全体の求人数では20代・30代と比較すると40代は少ない傾向にあります。40代ともなると採用企業側もそれなりの役職を用意しており、転職志望者にもそれに見合った経験や能力を求めるため、求人の母数はどうしても絞られてきます。

それでも40代で転職を成功させている人がいるのも事実です。転職サイトのビズリーチによれば、ビズリーチを利用した転職成功者のうち4割以上が40代以上と大きな割合を占めているといいます。40代でも、条件や転職活動の進め方次第で希望の転職が行える可能性はあると言えるでしょう。

40代で転職はできる?やはり不利なのか?

結論から言えば40代でも十分に転職はできると言えます。ただし、自身のこれまでの経験やスキルと、企業が求める人材像がマッチしていた場合に限ることも忘れてはなりません。

先述したように40代の求人数は母数が少ないなど、20代や30代と比較すると厳しい条件での転職活動になることは事実です。しかし40代の大きな強みは、20年ほど社会人経験を通して培ってきた経験や実績、スキルや専門性などにあります。若手の頃の現場での経験から、上司としてのマネジメント経験まで、成功したことや苦労したことなど、多くの経験を積んできたはずです。そうした経験を活かして転職活動を進めていければ、希望の転職が行える可能性も十分にあります。

40代の転職が厳しいと言われる理由

それでも40代の転職が厳しいと言われる理由は、年齢という点もさることながら、企業から求められるスペックが高く、完全に即戦力として期待されているという点にあります。

20代のようにポテンシャルや熱意が評価されることはありませんし、30代よりもさらに高い能力や経験を求められるため、それ相応のキャリアや経験を積み上げていなければ評価されにくい点が、40代の転職活動が厳しいと言われる最大の理由です。企業が40代の転職志望者に求めているのは、今すぐに戦力となって結果を出してくれる実力なのです。

また40代の転職では募集されている職種も限られてきます。マネジメント職であれば、これまでの管理職としての経験や高度なマネジメント能力が求められるでしょう。専門職種であれば、高い知識とスキルが求められます。

企業側も即戦力を期待しているため、よりシビアに転職者のことを判断します。そのため自身のキャリアと求人がマッチしていない場合は、なかなか採用に至りません。

40代の転職では年収は上がるのか、下がるのか

結論から言えば、40代の転職によって年収が上がるのか、下がるのかは一概には言えないのが現状です。

これまでのキャリアや経験、専門性、スキルなどが噛み合った求人と出会え、企業から高い評価を得られた場合は年収が上がるケースも少なくありません。先述した通り、40代の転職志望者には高い専門性やマネジメント経験が求められる一方、業務内容に見合った報酬が用意されていることも珍しくはありません。実際に、厚生労働省の「転職入職者の賃金変動状況」によれば、40~44歳の41.4%が、45~49歳の38.9%が、それぞれ賃金アップを実現していると回答しています。

一方、十分なキャリアや経験などを積み上げて来られなかった場合や、ネガティブな事情により大企業から零細企業に転職をした場合などは年収が下がるケースも多くあります。
40代の転職は、企業が欲しくてたまらない優秀な人材であれば年収が上がり、そうでない場合は年収が下がる、シビアな場と言えるでしょう。

40代の転職の活動期間の目安

40代の転職活動期間の目安は、3~6ヶ月以上の長期間に渡るケースが多く、近年のコロナの影響によって、採用スケジュールの見直しなどの傾向もあるため、転職活動期間が半年を超えることも少なくありません。

40代の転職志望者に対し、企業は役職の付いた高いポジションに見合ったキャリアや能力を求めているため、採用活動も慎重で厳しいものになりがちです。よほど綺麗なキャリアを積んできており、企業側の求める人材とぴたりとマッチ場合を除き、40代の転職活動は長期戦になることを覚悟して進めていくと良いでしょう。

加えて、転職志望者側が希望条件を厳しく設定してしまいすぎると選択の範囲が狭まってしまい、必然的に活動期間が延びてしまうため、妥協ラインを明確にした転職活動が必要と考えられます。

40代で未経験の業界・職種に転職できるのか

40代で未経験の業界・職種へ転職することは、残念ながら現実的ではないと考えた方が良いでしょう。絶対に不可能とまでは言いませんが、成功率は極めて低く、仮に転職ができたとしても大幅な年収ダウンが伴う可能性が高いと言えます。株式会社ビズヒッツが行った「40代の転職に関する意識調査」によれば、未経験の仕事へ転職した56.2%が、年収が下がったと回答していると言います。

繰り返しになりますが、40代の転職志望者に企業が求めているものはこれまでの経験や専門性、スキルであり、それらを全く活かせないポジションに40代の転職志望者を迎え入れるメリットは企業側にありません。まっさらな状態からスタートするのであれば、20代の若手を採用すれば十分です。

40代で未経験の業界・職種に転職して年収アップにも成功するケースには共通したパターンがあります。これまでのキャリアを通して培ってきた経験やスキル、専門性などを活かせる別業界の企業に転職するパターンです。

例えば、現場の豊富な経験や実績、専門知識などを抱えて、関連業界へのコンサルティングを提供するコンサルティングファームに転職する、メーカーでの商品企画やマーケティングに従事した経験から、ネットサービスのマネージャー職に転職する、などがこうした例に該当します。

しかし、当然ながらこうした優秀な人材はどこの企業も求めており、40代であっても同業界への転職も可能なケースがほとんどです。同業界や同業種への転職が無理だから、全く関係のない業界や職種に未経験で飛び込もうといったケースではないことは忘れてはなりません。

40代の女性の転職

近年では40代の女性の転職も多くなってきています。厚生労働省の「雇用動向調査結果の概況」によれば、40~44歳の女性入職率は13.1%、45~49歳の女性入職率は10.8%となっています。この入職率は40代の男性よりも多い数値です。女性の管理職も徐々に増えてきました。40代の女性の転職市場は年々広がってきていると言えるでしょう。

とは言え、女性だから転職市場で有利になることもありません。女性も男性も、40代の転職志望者は同じように経験や実績、スキル、専門性などのキャリアが揃っていることが求められます。女性だから不利、女性だから有利といった評価ではなく、平等に能力が求められるようになった点は、転職を考える40代の女性にとって望ましい環境だと言えるでしょう。

40代の主な転職理由

理由1:会社の将来が不安

厚生労働省が発表した「平成 30 年雇用動向調査結果の概況」によれば、40代の男性の10%以上が会社の将来に不安を感じて転職をしています。40代になってくると役職に就く人も多く、会社の現状をより正確に把握できるようになったことで、将来性に不安を感じる方も出てくるということでしょう。

50代以降の転職は難しいことから40代を最後の転職の機会ととらえ、このまま残り20年のビジネスパーソンとしての人生を現職企業で過ごして良いのかと考える転機になっているのかもしれません。

理由2:労働条件や給料

40代ともなると現職でも役職に就き、さまざまな責任を負いつつ日々の業務に邁進している人も多くなってきます。責任のある仕事はやりがいも感じやすいですが、その重要度や責任の大きさに対して、給料や待遇が低いと感じる人も多くいます。仕事や責任に見合った労働条件を求めて、転職をする人が多いのが40代の転職志望者の特徴でしょう。

理由3:職場の人間関係

職場の人間関係も転職の大きな理由となっています。前述の厚生労働省の「平成 30 年雇用動向調査結果の概況」によれば、40代女性の10%以上が人間関係を理由に転職しています。40代は管理職として部下をマネジメントしつつ、役員などの上役との調整も行う、人間関係で板挟みになりやすい年代とも考えられます。そうした人間関係が行き詰まり、転職を考える人が多いと言えるでしょう。

40代の転職を成功させるための5つのポイント

在職中に転職活動を進める

20代の転職と比べて、30代・40代の転職活動は3カ月~半年以上の長期間に渡ることが多いのが特徴です。高い能力が求められ、狭き門となってくることもあり、そもそも転職に失敗してしまう可能性も考慮しなければなりません。また、40代ともなると家庭を持っている方も多くいます。

こうした背景から、現職を退職してからの転職活動となると、半年以上も収入が途絶えるリスクを抱えることになります。そのような焦りを抱えがちな環境でもしも転職活動が上手くいかず転職先が決まらなかった場合、現職よりもずっと悪い条件の企業に止む無く入社することにもなりかねません。

以上のことから、40代の転職活動は在職中に進めることをお勧めします。ただし、在職中の転職活動は時間的な制約があり、仕事と転職活動の両方の負荷がかかるなど、楽にはいかないことを想定しなくてはなりません。いかに効率的に転職活動を行えるかが鍵を握るでしょう。

自身の市場価値を客観的に把握しておく

40代の転職活動であっても、30代までと同様に、自身の転職市場での価値を客観的に把握することは重要です。自身のキャリアや経験、能力ならば、どの企業のどのポジションでどの程度の待遇で採用されるのか、正しく把握できていなければ採用側とのミスマッチが発生します。

「身の丈に合った」というとネガティブなイメージを持つ方もいるかと思いますが、40代の転職では自身を正しく評価した地に足の着いた転職活動をしなければなりません。20年近くの社会人経験があれば、自身がどの程度の仕事ができるのか、社外でどの程度評価されるキャリアや実力があるのか、などがわかるはずです。また、こうした分析が難しいようであれば、後述する転職エージェントなどの専門家にアドバイスを求めることも有益でしょう。

培ってきた経験を活かせる企業を選ぶ

40代の転職活動は、今まで培ってきたキャリアや経験、スキルなどを前提として評価が行われます。そのため今までのキャリアが活かせる企業を選ぶのが成功への道筋です。先述したように、40代で未経験の業界や職種に転職することは難しいのが現実です。

前項で触れたように、自身の市場価値を客観的に把握した上で、自身のキャリアに沿った業界や企業を探していくと良いでしょう。自身の価値が評価されやすい企業を探すために、入念な企業調査もしておきたいところです。

転職理由と希望条件を明確に整理しておく

20代・30代でも転職理由や希望条件を明確にしておくことは当然大切でしたが、40代の転職活動ではさらにこれらが重要になってきます。多くの場合、40代の転職は少ない求人数と高いハードルから、すべての条件や希望を叶えることは難しいため、何を優先して転職先を選ぶのか、どんな条件ならば妥協できるのかなどを見極めることがより重要になってきます。

厳しいようですが40代の転職活動では、ときには妥結点を見出すことも必要です。こだわりすぎてしまうと、転職活動そのものが失敗してしまう恐れもあります。正しい判断を下すためにも、どこが譲れず、どこからは妥協できるのかを明確にしておきましょう。

専門家のアドバイスを受けることも検討する

転職活動において専門家のアドバイスを受けることは、とても有益であると言えます。自身のキャリアを正確に評価することや、それにマッチする企業を選定することは、思いのほか労力を要します。現職の職務と転職活動を両立するためには、限られた時間ですべての転職活動を効率的に行う必要があり、そのサポートを専門家にお願いすることは理に適っています。

転職サポートの専門家として真っ先にあがるのは転職エージェントです。転職エージェントは日々多くの転職志望者や求人案件を見てきているため、キャリアを客観的に評価し、マッチする企業を探すことに慣れています。転職エージェントに相談をすれば、自身のキャリアや希望条件からマッチする企業を探し出し、エントリーや面談日程の調整まで行ってくれるため、平日の退社後や土日などの限られた時間を有効活用するためには有用です。まずは無料相談を受けてみると良いでしょう。

ただし、転職エージェントを使えば全てが上手くいくと考えるのは危険です。転職エージェントは企業の求人条件にマッチした人材を紹介して採用させることで、企業から人材紹介料をもらうことでビジネスが成り立っています。したがって、転職エージェントのコンサルタントの目標は「転職させること」です。多少本人の希望に合っていなかったとしても、転職を成功させてしまえば良いと考えるコンサルタントも残念ながら存在するため、良く見極めた上で利用する必要があると言えます。転職エージェントについてはこちらの記事をご一読いただくと良いでしょう。

まとめ

40代の転職活動は求人数も少なく、求められるスペックも高いため、より厳しい目で実力を判断されます。40代の転職志望者は、高い経験や専門性、マネジメント能力、技術やスキル、知識など企業に感じ取ってもらわなければなりません。その道は当然30代までの転職と比べて険しくはありますが、自身の経験やスキルを整理し、これまでのキャリアを十全に活かせる企業への転職を目指せば、キャリアアップも不可能ではないでしょう。

人生100年時代と言われる現代において、40代はまだまだこれからの年代です。これまで培ってきた経験やスキルが活かせる転職先に出会えることを願っています。

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