ポテンシャル採用とは?未経験でも評価されるのは何歳まで?

ポテンシャル採用とは

ポテンシャル採用とは、現時点でのスキルや経験、実績ではなく、その人材のポテンシャル(潜在能力)や将来性を重視した採用手法のことです。

ポテンシャル採用は即戦力を期待しての募集や選考は行われないため、これからの成長が見込める若手が対象となることが一般的です。第二新卒20代の転職がポテンシャル採用のメインターゲットと言えるでしょう。また、広義には新卒採用もポテンシャル採用の一環です。

将来性を期待するポテンシャル採用では、未経験の業界や職種であっても採用に至ることが多いことも特徴です。売り手市場の転職市場が続く中、企業が採用の裾野を広げるために有効な手法として、ポテンシャル採用は積極的に利用されています。

ポテンシャル採用を企業が行う理由

企業がポテンシャル採用を行う背景には労働人口の減少に伴う採用難があります。少子高齢化が進む日本では、目に見えて新卒学生が減少し始めています。厚生労働省が発表した「令和3年3月大学等卒業者の就職状況」によれば、大学生の就職率は96%で労働力市場は超売り手市場の傾向です。そのため企業は新卒学生を取り合う状況となっており、優秀な若手人材の確保は大きな課題となっています。

過熱する新卒採用市場において十分な人数の優秀な若手人材を採用することは容易ではなく、知名度や予算の少ない中小企業から、大企業や有名企業に至るまで、第二新卒や20代の若手を転職市場から採用することを目指し、ポテンシャル採用が取り入れられている状況です。

第二新卒などの若手であれば、まだどの企業のカラーにも染まりきっておらず、十分な育成期間を設けられます。ポテンシャルが高いと思われる若手を選抜すれば、生え抜きの新卒入社組と比較しても遜色ない伸びしろが期待できるため、若手人材の採用の裾野を広げることに有効だと言えます。

こうした背景から企業はポテンシャル採用を積極的に行っているのです。

ポテンシャル採用の対象となる年齢

ポテンシャル採用の対象となる年齢は主に第二新卒と分類される20代が中心です。少し前までは25~26歳前後までを第二新卒としてポテンシャル採用のメインターゲットと考える企業が多かったようですが、近年では30歳頃までを第二新卒と捉える企業も増えてきており、ポテンシャル採用の対象年齢は広がってきていると言えます。

参考記事:第二新卒とは?メリット・転職時のポイント

なお、一般的には30代以降の転職活動では、ポテンシャルよりも経験やこれまでの実績、スキルなどが重視されてくる傾向があります。近年では30代の転職市場は広がりを見せてはいますが、30代ともなると役職に就く方も増えるため、相応の実力が求められます。

こうした事実を踏まえれば、20代は未経験の業界や職種にチャレンジしやすい期間であり、キャリアチェンジの最後のチャンスとも捉えられます。まだまだフレッシュではあるけれど、数年のビジネス経験から将来のことを考えられる期間として、第二新卒およびポテンシャル採用は転職者側にも大きなメリットがあると言えるでしょう。

ポテンシャル採用のメリット

応募者側のメリット

ポテンシャル採用における応募者側の最大のメリットは、未経験の業界や職種にもチャレンジできることにあります。

企業側は現時点でのスキルや経験ではなく将来性を重視するため、面接などを通して熱意や伸びしろを示せれば、希望の業界や職種に就くことも可能になります。また、同業種や同職種であっても、より条件の良い企業に転職できる可能性も十分にあります。

転職でのキャリアチェンジやキャリアアップの可能性が残されていることは、ポテンシャル採用の大きなメリットと言えるでしょう。

企業側のメリット

企業側のメリットは主には以下3点が挙げられます。

  • 優秀な若手人材を確保できる
  • 教育コストを削減できる
  • 年齢構成の若返りを図れる

この中でも最大のメリットは、やはり優秀な若手人材が確保できる点でしょう。人材の流動性が高まる中、第二新卒の転職市場は活況を示しています。新卒採用では接点が生まれなかった優秀な若手にリーチできる余地がある点だけでも、企業にとって大きなメリットがあります。

また第二新卒は多少の社会人経験がある人材が多く、最低限のビジネスマナーやビジネス経験を身に付けており、これらの教育コストを自社が負担しなくて良い点もメリットと言えます。

もちろん、まだまだ未熟な若者ですので入社後の研修は不可欠ですが、スタートラインが新卒採用よりも少しだけ先にある点は特徴と言えるでしょう。

こうしたポテンシャルの高い若手を新たに採用すれば、社内の若手人材の構成比は増えるはずです。企業の年齢構成において新陳代謝は重要ですが、残念ながら日本の人口構成は逆三角形になっており、若者は絶対数が少なく、企業の年齢構成を若返らせるためには積極的な若手の採用が不可欠です。

新卒社員の採用難易度が高まっていることに加え、若手従業員の早期退職も珍しくない現代において、若手を積極的に採用していかなければ将来的に人材不足に陥るなど大きな問題になってしまいます。こうした課題を解決することに対して、ポテンシャル採用は有効だと言えます。

ポテンシャル採用のデメリット

応募者側のデメリット

売り手市場の中で広がったポテンシャル採用は、応募者側に大きなデメリットはありませんが、強いて挙げるならば「ポテンシャル」という概念が抽象的な点です。企業は長期的な目線で伸びしろがありそうな若手を求めて選考を行いますが、何をもってポテンシャルがあると評価するかは企業や採用担当者次第です。

業界の人間ならば誰が見てもわかる経歴や実績と異なり、抽象的なポテンシャルを評価することは難しく、本来の実力やスキルが正しく評価されないことがあるかもしれません。とは言え、20代であれば能力やスキル自体もまだ育ちきっていないため、それほど大きなデメリットとはならない場合が多いはずです。

企業側のデメリット

企業側のデメリットとしては、ある程度の教育コストがかかることと、早期退職の恐れがあることなどが挙げられます。

ポテンシャル採用で採用される人材は、業界や職種に対して未経験または経験が少ない状態で入社します。実際に戦力となるためには時間をかけて育成しなければならないため、即戦力の人材を中途で採用するよりも教育コストがかかります。

また、中途採用におけるポテンシャル採用の応募者は、一度早期退職を経験しており転職に抵抗がないケースが多いことから、早期退職のリスクを抱えがちです。

入社後のミスマッチが起きないように、志望動機や転職理由などから早期離職しそうな人材でないかを見極める必要があります。入社後のサポートも早期退職を起こさないために注意を払うと良いでしょう。

ポテンシャル採用を成功させるためのポイント

応募者側のポイント

企業はポテンシャル採用の面接を通して、主に以下の点を見ていると言われています。

  • ヒューマンスキルは高そうか
  • 基礎的なビジネスマナーはできているか
  • 明確なキャリアビジョンはあるか
  • 意欲や熱意はあるか
  • 離職しなそうか
  • 自社とマッチしそうか

これらの中でも、ビジネスマナーやキャリアビジョン、離職の懸念などは事前の準備で対策できる項目です。最低限のビジネスマナーは本やセミナーなどで身に付けることができますし、キャリアビジョンはキャリアデザインを行ったりキャリアカウンセリングを受けたりすることで明確化できます。離職の懸念は退職理由の伝え方を考えておくことで対策できます。

また、熱意や意欲については具体性が鍵となります。熱意などと言うと(今や死語かもしれませんが)熱血な言動を連想される方もいますが、面接における熱意とは「どれだけ真剣に応募先の企業に入りたいと考えているか」を伝えることです。その企業や事業について調べてきていることはもちろん、入社後のキャリアプランなどを具体的に語ることで熱意を伝えることが可能です。また、こうした過程でミスマッチはなさそうだと伝えることもできるはずです。

ポテンシャル採用だからこそ準備をきちんと行い、伸びしろを伝えられるようにしましょう。

企業側のポイント

企業がポテンシャル採用を上手に活用するために特に注意したい点は、以下の3点です。

  • ポテンシャル採用であることを明示する
  • 研修などのサポート体制を明確にする
  • 求めるポテンシャルを具体化する

ポテンシャル採用で優秀な人材を集めるためには、まずは何よりも先に応募者に見つけてもらう必要があります。

ポテンシャル採用に応募する転職志望者は膨大な転職情報の中からポテンシャル採用を行っている企業を探し出すために、さまざまな方法や条件で求人を探し出そうとしています。ポテンシャル採用であることを明示しなければ、こうした応募者に見つけてもらうことは困難です。同様に、若手向けの求人サイトを利用したり、SNSを活用したりするなど、若者にリーチするための方法も検討すると良いでしょう。

加えて、研修などのサポート体制が用意されていることも明確に伝えると良いでしょう。即戦力となるほどの経験も知識も見に付いていないポテンシャル採用の人材は、入社後の研修などを期待しています。こうしたサポートを十分に行うことで早期退職を防ぐことにもつながるため、予め応募者に研修やサポート体制を明示することはプラスに働きます。

また、自社が求めるポテンシャルを明確にすることも大切です。

前述のように一口にポテンシャルと言っても、どのような能力をもってポテンシャルを評価するのか曖昧になりがちです。抽象的な概念と採用担当者の直感に任せていては、正しい評価は行えません。ヒューマンスキルやコミュニケーション能力を評価するのか、思考力を問うのか、課題解決能力などのポータブルスキルなどを求めるのか、など求める人材像と照らし合わせて具体化しておきましょう。

まとめ

少子高齢化が進む現代のビジネス環境において、優秀な若手人材の確保は企業にとって頭の痛い課題です。転職市場は超売り手市場であり、第二新卒はもちろん、20代後半の人材であってもポテンシャルで評価されることも多くなってきました。

ポテンシャル採用が浸透しきった昨今では、未経験の業界・職種であっても挑戦できるチャンスが存在します。転職を考える若手にとって、ポテンシャル採用はチャレンジを受け入れる入口となっています。

ポテンシャル採用を目指す若手は、まずは意識的に日々の仕事や生活を送ることで社会人としての基礎能力を磨き、転職市場で評価されるポテンシャルを高めると良いでしょう。こうして見に付いた能力は、面接でもポテンシャルとして自然とにじみ出てくるはずです。

ポテンシャル採用が読者にとって良いチャレンジの場となることを願っています。

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