【2022年版】キャリアカウンセリングとは?効果・費用・おすすめの本

目次

キャリアカウンセリングとは

キャリアカウンセリングの定義

キャリアカウンセリングとは、これから転職・就職活動を行おうとする方、今の職場環境に悩みを抱える方、またこの先どのようにキャリアを進めていこうかと考えるビジネスパーソンなどに対し、専門家が相談に応じ、専門的な知識と知見をもって解決の手助け・支援をすることです。

こうしたキャリアの相談に応じる専門家はキャリアカウンセラーと呼ばれ、多様化が進む現代、職業やキャリアの歩み方についても選択肢が増える中、求められる場が広がっています。

キャリアカウンセリングで相談できること

キャリアカウンセリングで相談できることは多岐に渡ります。無数にある職業から自分はいったい何を選べばいいのか?自分の能力に適した仕事は?といった自分探しの方法から、キャリアデザインの仕方について、履歴書の書き方、または職場での人間関係やライフワークバランスのとり方といった個人的な問題まで相談することも可能です。

キャリアという観点からキャリアカウンセラーの助言を得て、自身への理解を深めながら、仕事に対する意識を高めたり自分に合った仕事を見出すきっかけにしたりすることができます。

キャリアカウンセラーとは

キャリアカウンセラーとは、相談者との対話をもって、その人のキャリア形成や働き方などについてアドバイスを伝えてくれる専門家のことを指します。

個人と社会の間に立ち、キャリアカウンセリングを通して相談者と向き合い、相談者が自身を見つけるお手伝いをしてくれる、もしくは仕事に関わる様々な不安を取り除き、キャリアに対する前向きな想いをもって行動に移せるよう相談者を導いてくれるのがキャリアカウンセラーです。

なおキャリアカウンセラーを名乗るために必須の資格はありませんが、以下の資格を有している場合が多くあり、相談者がキャリアカウンセラーを選ぶ際の一つの指標にもなっています。

資格名 概要
キャリアコンサルタント
(国家資格)
1969年に制定された職業能力開発促進法によって定められ、2016年4月に国家資格となった。学科試験と実技試験からなる「キャリアコンサルタント試験」に合格し、国が指定した機関のキャリアコンサルタント名簿に登録している者のみが「キャリアコンサルタント」と名乗ることができる。キャリアコンサルタントの資格を継続して保有するためには5年ごとの更新や講習が必要。
キャリアコンサルタント技能士
(国家資格)
2008年より始まった「キャリアコンサルティング技能検定」に合格すると得られる国家資格。上記の「キャリアコンサルタント」の上位にあたるとされる。1級と2級があり、受験資格としてそれぞれ規定の実務経験等が求められる。1級資格者となると、相談者への相談支援はもちろん、組織や関係者への働きかけやキャリアコンサルタントへの指導までできるレベルを要する。
CDA
(民間資格)
キャリア・デベロップメント・アドバイザー (Career Development Adviser)。日本キャリア開発協会 (JDCA) が認定するキャリアカウンセラー資格。JCDA認定のCDA養成カリキュラム修了者、もしくは既定の資格取得者がCDA会員としてJCDAに入会する事でCDAと名乗ることができる。
産業カウンセラー
(民間資格)
日本産業カウンセラー協会 (JAICO) が認定するキャリアカウンセラー資格。JAICOの産業カウンセラー試験に合格し、登録を行うことで産業カウンセラーと名乗ることができる。

キャリアカウンセリングが求められる背景

近年、キャリアカウンセリングの需要はますます高まり続けています。その背景として以下のような時代の変化が挙げられます。

人材の流動性の高まり

2020年の総務省の発表にもある通り、日本の転職者の数は増加傾向が続いています。背景には終身雇用の衰退や若者の意識の変化、企業の雇用に対する柔軟性の高まりなどがあり、この20年で雇用・就業の価値観は少しずつ変わってきました。

転職はキャリアアップを含む大きなキャリアの転換点となりえる一方、十分な情報収集や検討をせずに進めてしまうと思わぬ後悔の元となる可能性もあるため、専門家であるキャリアカウンセラーのアドバイスが活きるタイミングでもあります。人材の流動性の高まりに伴い、キャリアカウンセリングの需要はますます増加しています。

キャリアの選択肢の多様化

ジョブ型雇用や副業解禁、パラレルワークなどのワードに示されるように、今、個人のキャリアの選択肢はより多様化しています。高度経済成長期のような仕事のみに全てを捧げるキャリア観は成立しづらく、ワークライフバランスを取りつつ、仕事におけるキャリアの充実と生活の充実を両立し、長いキャリアの中で高い生産性を維持し続けるような働き方も求められるようになりました。

多くの選択肢を把握し、自分にあったキャリアを見つけることは年々難しくなってきており、キャリアカウンセリングの需要が高まることとなりました。

女性の活躍・労働寿命の長期化

世界的な時流として女性の活躍の場が増え、同時にどのようなキャリアプランを描いてゆくかが女性にとってより重要な課題となってきました。また、健康寿命・労働寿命の長期化から第二の人生を求めるシニア層も増え、60代で新しいことにチャレンジしたり、転職を考えたりする方も珍しくなくなってきています。そのような人生をより楽しもうと考える人々にとって、キャリアカウンセリングは心強い味方となっています。

新型コロナウイルス感染症による働き方の変化

新型コロナウイルス感染症により、我々の働き方には大きな変化が訪れました。テレワークによる仕事スタイルの変化、今まで担ってきた仕事の減少、職場での制限の増加などの影響を受けて、自らのキャリアスタイル、ライフスタイルを考え直した方も多く、そのような人々からキャリアカウンセリングがより求められるようになりました。

キャリアカウンセリングの効果

2017年に厚生労働省が行った調査結果によると、キャリアコンサルティングの効果として、「自らのキャリアについて相談した労働者の約9割が、相談が役に立った」と回答をしています。それでは実際、キャリアカウンセリングの効果にはどのようなものが期待され、どのように役に立つのでしょうか?代表的には以下4点が挙げられます。

自身への理解が深まる

キャリアカウンセリングはまず、相談者が「自分を理解する」ことから始まります。自分の悩みは何か、夢は何か、自分の適性はどこにあってどんな職業が合っているのか、今の仕事を続けるべきかどうか。

普段話す機会の少ない「キャリア」に関する自分の想いをキャリアカウンセラーに聞いてもらいながら、プロフェッショナルによる様々な角度からの分析を受け、改めて自分自身への理解を深めていくことができます。

時には自分で気が付かなかった自分の特性、自分の想いに気付くことができるかもしれません。

キャリアデザインができる

キャリアカウンセリングを進める中で、キャリアデザインの設計、すなわち人生における将来のビジョンとそれに沿った行動指針の設計を専門家と共に行うことができます。

キャリアデザインを設計することで、将来の目標から逆算して現在の行動やアクションを見られるようになるため、キャリアアップにポジティブな影響を与えることが可能です。

転職活動の支援を受けられる

転職エージェントの中にはキャリアカウンセリングのサービスを提供している企業も多くあります。転職エージェントは転職市場や企業について多くの情報を抱えているため、転職に向けた具体的な支援やアドバイスを受けることもできます。

履歴書の添削や面接対策、自分に適した企業とのマッチングなども行ってもらえるため、転職を考える場合には心強いサポートとなるでしょう。

キャリアに関する不安を取り除ける

キャリアの考え方に正解はありません。しかしだからこそ、一人では不安も伴うもの。専門家による客観的な分析とアドバイスは、キャリアに関する不安を抱えている多くのビジネスパーソンにとって大きな安心感を与えます。

キャリアカウンセリングで自身のキャリア観を整理し、安心感を得ることで、自信をもってキャリア開発を行動に移せるようになります。

キャリアカウンセリングを受けるべき人

カウンセリングと聞くと何かを治す・癒すためのものというイメージを持ちがちですが、キャリアカウンセリングは「育成・開発的カウンセリング」とも呼ばれている通り、相談者に自身のキャリアや仕事上の責任を明確化してもらい、前向きなキャリア開発行動を促すところまでを目的としています。

その意味でキャリアカウンセリングを受けるべき人に制限はなく、すべてのビジネスパーソンはもちろん、これからビジネスに関わろうとする学生の方など、年代問わず全ての人に必要なものとも言えます。

相談できる内容も多岐に渡り、「現職を続けるべきか転職すべきか悩んでいる」、「職場の人間関係に悩んでいる」、「進むべきキャリアについてプロのアドバイスが欲しい」、「自身でキャリアデザインを行ったが判断が正しいか専門家に相談したい」、「自身の価値観や理想の働き方を整理したい」、「今のままで良いのか漠然と不安」、などといった人はぜひキャリアカウンセリングを受けてみると良いでしょう。

キャリアカウンセリングのやり方、話す内容

キャリアカウンセリングの進め方や手順については一様ではありませんが、ここでは一例として実際のキャリアカウンセリングのやり方、話す内容についてまとめます。

STEP1 相談内容の把握

まずは相談者の悩みや想いをキャリアカウンセラーに伝え、一緒に相談内容をまとめます。「○○で働きたい」といった具体的要望から、「なんとなく今の職場だと不安」といった漠然とした相談まで、自分の気持ちを正直に伝えましょう。上手に話さなければと身構える必要はありません。

STEP2 キャリアの棚卸し

適正なキャリアデザインのために、自身のこれまでのキャリアについて棚卸をし、自己理解を進めます。

自分は何に興味があるのか、何をしてきて何が出来るのか、強み・弱みは何か、何を大切にして働きたいのか。キャリアカウンセラーによってはツールやワークシートを用いて相談者のキャリア整理・スキル分析などをお手伝いしてくれる場合も多くあります。

STEP3 アセスメント(評価・分析)

自己洞察を深めたら、いよいよキャリアプランの計画です。目指すべき方向に向かってどのようなキャリアパスや解決策があるのかをキャリアカウンセラーと一緒に考えます。すでにキャリアプランの案がある場合は、それに対するアドバイスを受けることもできます。

STEP4 目標設定

キャリアプランに沿って具体的に何をどう解決するのか、どういったギャップを埋めてゆくべきか、短期・中期・長期目標などに分けてそれぞれ目標を設定します。

必要に応じ能力開発や教育訓練等に関する情報の提供を受けることもできます。

STEP5 課題の洗い出し

目標達成のための課題を洗い出し、その解決方法についてキャリアカウンセラーと共に考えます。キャリアカウンセリングは短期的な目標達成ではなく、長期的なキャリア形成について計画とその進め方を策定するため、今目の前にある課題から将来乗り越えなければならない課題まで、さまざまな角度から課題を洗い出します。

STEP6 行動計画の策定

これからの行動計画を具体的に定め、行動に移します。実際の応募や、応募の為の準備のサポートを受けられる場合もあります。また、定期的にキャリアカウンセリングを受ける場合、策定した行動計画に沿って行動した結果、キャリアプランが叶うようにキャリアが進んできたのかを振り返り、計画を修正していくこともあります。

キャリアカウンセリングを受ける方法

[有料] 民間のキャリアカウンセリングサービスを受ける

日本でも民間のキャリアカウンセリングサービスが増えています。有料ではありますが、その分各社特色があったり、職業あっせんが目的でない分中立的な立場であったり、または自分の相談したい分野に長けたキャリアカウンセラーを選ぶことができたりします。

近年ではオンラインでできるキャリアカウンセリングサービスも増えてきており、場所を問わず気軽に相談できる環境が整いつつあります。自分の納得するサービスを吟味して有効に活用しましょう。

[無料] 転職エージェントでカウンセリングを受ける

転職エージェントでは転職を通したキャリア形成のアドバイスを受けることができます。転職のプロフェッショナルからの具体的な最新情報が魅力ですが、転職エージェントのビジネスモデル上どうしても転職を推奨する形となるため、1社のみに相談して鵜呑みにするのではなく他のサービスも併用した上で自身のキャリアプランを計画することが望ましいでしょう。

[無料] 公的な職業紹介所やNPOでカウンセリングを受ける

ハローワークやジョブカフェ(都道府県が設置している主に若者の就職支援を行う施設)、東京しごとセンターなど、公的な機関では無料でキャリアカウンセリングを受けることができます。

いずれも失業したら行くところ、というイメージを持ってしまいがちですが、実際には資格を活かした転職希望者や、「仕事を辞めて専門学校へ通い、新たな人生を始めたい」といった前向きな行動のために訪問する利用者も多くいます。

また、その他、各種NPOが運営するキャリアサポートの仕組みもあるので、利用してみるのも一つの方法です。

[無料] 社内のキャリア相談窓口に相談する

近年大企業を中心に広がりをみせているのが、社内のキャリアカウンセリング窓口の設置です。従業員として社内でのキャリアパスに関するアドバイスを受けたり、人間関係の悩みや社内公募への挑戦について相談したり、場合によっては転職の相談をしたりすることもできます。

キャリアカウンセリングにかかる費用と料金

キャリアカウンセリングにかかる費用はカウンセラーによってさまざまです。一般的には、キャリアカウンセリング1回(60~90分程度)にかかる費用として、国家資格保有者であるキャリアコンサルタントで1時間5,000円~8,000円、キャリアコンサルタント技能士では10,000円前後が想定されますが、より安い価格でサービスを提供しているカウンセラーもいますし、有名カウンセラーになると数万円以上となるケースも存在するため、相場という概念はあまりないと考えられます。

また、有料であっても初回無料のところも多く、転職エージェントなど主軸のサービスの付属としてキャリアカウンセリングが行われる場合は無料の場合もあります。まずは自分の利用しやすいキャリアカウンセリングサービスを選んで、気軽に相談してみることをお勧めします。

キャリアカウンセリングのおすすめの本

キャリアカウンセリング

キャリアカウンセリングの理論を初歩から学ぶための入門書として、20年近く読まれてきた本。キャリアコンサルタント試験の勉強にも読む人が多く、カウンセリング手法や理論をわかりやすくまとめているため、これからキャリアカウンセリングについて学びたい人に最適な一冊です。

書籍名
キャリアカウンセリング
筆者
宮城まり子
出版社
駿河台出版社
発売日
2002/4/1
URL
https://amzn.to/3fXwIiZ

キャリアコンサルタントのためのカウンセリング入門

キャリアカウンセリングの事例が豊富に載った書籍であり、キャリアコンサルタントの質の確保を図ることを目的に書かれたとのことから、キャリアコンサルタント試験の勉強に読み込む読者も多いそうです。前述の書籍「キャリアカウンセリング」はどちらかと言えば事例が少ないため、より多くの事例を見たい場合などに最適な一冊です。

書籍名
キャリアコンサルタントのためのカウンセリング入門
筆者
杉原保史
出版社
北大路書房
発売日
2016/3/23
URL
https://amzn.to/3u0FPrp

シャイン博士が語るキャリア・カウンセリングの進め方

キャリアアンカーの提唱者であるアメリカの心理学者、エドガー・H・シャイン氏による、キャリアカウンセリングに関する書籍です。81ページとページ数の少ない書籍ですが、キャリアアンカーを踏まえたキャリアカウンセリングについて考えるきっかけとなります。

書籍名
シャイン博士が語るキャリア・カウンセリングの進め方
筆者
E.H.シャイン / 尾川丈一 / 石川大雅
出版社
白桃書房
発売日
2017/1/20
URL
https://amzn.to/35ekj88

キャリア教科書 国家資格キャリアコンサルタント学科試験 テキスト&問題集 第2版

月間30万PVを超える人気受験サイト「みんなで合格☆キャリアコンサルタント試験」の書籍版。わかりやすく解説したテキストと、模擬試験の問題集で構成されており、資格試験対策には読んでおきたい一冊です。

書籍名
キャリア教科書 国家資格キャリアコンサルタント学科試験
テキスト&問題集 第2版
筆者
原田政樹
出版社
翔泳社
発売日
2021/3/17
URL
https://amzn.to/3IARJMG

国家資格キャリアコンサルタントの基礎理論

国家資格であるキャリアコンサルタントの資格試験対策として、基礎理論をわかりやすく解説した一冊です。各理論とそれを提唱した理論家についてわかりやすい解説と図表による補足、重要度のランク付けなどの工夫が盛り込まれており、入口として入りやすい内容にまとめられています。

書籍名
国家資格キャリアコンサルタントの基礎理論
筆者
池田恵美(監) / 中川浩 / 中川久恵 / TEPPEI / 村上海介
出版社
秀和システム
発売日
2020/9/25
URL
https://amzn.to/3u0JGVd

まとめ

キャリアに関する選択肢が増えた現代、自身の性質を理解し、キャリアを棚卸しして客観的に判断すること、実現可能なキャリアデザインを計画し実行することは容易ではありません。

的確な助言と共に行動に向けて背中を押してくれるキャリアカウンセリングが注目を集めているのは自然な流れです。キャリアプランニングの専門家であるキャリアカウンセラーと話し、アドバイスを受けることは、自己理解を深め、将来のキャリアを見通すことにきっと役立つことでしょう。
読者の皆さまがキャリアについて改めて考えるきっかけに、本稿がなれば幸いです。

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