転職に活きる市場価値の高め方

あなたの市場価値=「再現性」×「希少性」×「市場性」の掛け合わせであることを、 市場価値とは何か? で説明をしてきました。
ここでは、現職でも意識する事で高められる「再現性」について、詳細に書いていきたいと思います。

■再現性

まず、再現性について考える際、以下の4つの質問に答えられるかどうかを見てください。

  • ポータブルスキルやスタンスが何かを説明でき、自らその能力を高く保有している。
  • 社外でも通用するマインドやスタンスが何かを説明でき、自らその能力を高く保有している。
  • テクニカルスキルが何かを説明でき、自らその能力を高く保有している。
  • 仕事の成果において、その成功要因/失敗要因を客観的に振り返り、他者やメンバーが自走出来るように展開・説明が出来る。

上記は、異なる組織・環境に移った際、どの程度の価値が発揮できるのか、その再現性を一般的な尺度で測るためのものです。
上司やメンバーなど一緒に働く人の変化、転職等により商材や顧客、社内カルチャーが変わった場合や、社内のルールが変わった場合、どの程度の価値を出せるかを考えてもらえると分かりやすいかと思います。

前提として、再現性が高い人材は、環境問わず、価値と成果を出せます。逆に言えば、特定の商材や顧客、組織や人間関係性があって初めて成果が出せる人材では、所与の条件が変わってしまうと価値が担保できないため、価値が下がります。

「再現性」を考えるポイントは、移転可能であるという意味で、ポータブルスタンス/ポテンシャルと、ポータブルスキルが重要視されます。その上で、専門的なスキルであるテクニカルスキルが大切となってきますので、順に説明していきます。

■ポータブルスキル・スタンス、テクニカルスキルの関係性

■ポータブルスタンス/ポテンシャル

以下で、再現性を考える前提としての、スタンスやスキルについてみていきます。
スタンスとは、仕事に対する価値観や考え方であり、ビジネスシーンで例を挙げると「向上心」、「素直さ」、「成長意欲」、「主体性」、「やり切る力」などが挙げられます。上図の最下層にあるポテンシャル、つまり「地頭」などとセットで語られることが多く、新卒や第二新卒では強く求められる領域です。

実は、この項目を非常に重要視している企業は多い。スキルはある程度、後天的に身に付けることは可能ですが、マインドやスタンスの習得や矯正は困難であると見做されているからです。ここの力が、成長に大きなレバレッジを与えやすい。

素直さ、行動力、内省して次につなげる力といったこのスタンスが高いほうが明確に成長しやすいという相関が出るというデータもあり、20代のポテンシャル人材はこの影響が大きいです。

元リク:リクルートに行くとキャリアアップに繋がりやすい理由 でも取り上げていますので、成長に寄与するという観点で、リクルートの4つのスタンスも参考までに挙げておきます。

リクルート人材の市場価値が高い所以は、このスタンスが強く影響していると思います。上司の指示ではなく、「あなたはどうしたいの?」と必ず問われ、自分自身の頭で「考え抜き」、「圧倒的な当事者意識でやり抜く」姿勢が求められることに加え、チームと連携することや、自分自身が広く深く学びながら成果を極大化する行動が徹底されているからです。

逆に、他社からリクルートに転職した方で、このスタンスの違いに圧倒されてしまう人材が多いと聞きます。言われたことだけを正確にやる、指示待ちになる人材というのは、ポータブルなスタンスが身に付いていないと思った方がいいです。リクルートが特殊なのではなく、ベンチャーを始め、数多くの企業が同様のスタンスが求めています。

■ポータブルスキル

ポータブルスキルとは、仕事を通じて見に付けた工夫や強みを異業界・異職種へも持ち運べるものであり、ビジネスパーソンである以上、どこでも求められる普遍的なスキルだと捉えてもらえばよいと思います。

スキルベースでいうと、論理的思考力、プレゼンテーションスキル、コミュニケーション能力、問題解決能力、交渉力、語学力、パソコンスキル等がよく挙げられるが、以下は、厚生労働省が提唱した「ポータブルスキル」の一覧なので、確認してみてください。

■厚生労働省が掲げるポータブルスキル

ビジネスは、複数の事象・要因が混在した問題を扱う事であり、それを多種多様な社内外の方を巻き込み、リードしながら進めていく事が基本だと考えます。そのため、仕事では「課題発見・探索」し、「解決のための計画」を立て、「実行」していく力は欠かせないため、どこに行っても必要とされる能力と言えます。

■テクニカルスキル

テクニカルスキルとは、専門性が高く、特定領域やシーンで発揮される能力のこと。習得には、当該スキルが必要とされる環境において、相応の時間や労力を要して培われるものです。

■テクニカルスキルの具体例

ここで、全てのテクニカルスキルを一覧で書いている訳ではないので、自身がテクニカルスキルを要しているか判断付きにくい方もいるかもしれません。その際は、「単発の仕事で、相応の対価を得られるスキル」として捉えていただくのが良いでしょう。
資格が不必要だが、一定の専門経験が必要な業務においては、皆さんは経験もあると思いますが、レベルは大きな差が存在します。ここでは、「希少性」とともに、自分のスキル価値を高めていけるかが重要であり、30代以降では、専門領域が何か、何が出来る人材なのかを社外の視点で語れる必要があります。

■再現性はプロセスで語られる

ここまで語っている「再現性」を外に示すときに必要な観点は何だと思いますか。
それは、「プロセス」です。結局は、どんな成果を出してきたではなく、どんな環境で、どんな人がいて、どんなことや障壁があって、そこでどう考え行動したのかというプロセスにこそ再現性が現れます。そこに本人のマインドやスキルが現れ、その中でどのような力を有しているかが見えると言われます。

企業の採用面接では以下3セットで聞かれる事が多く、候補者目線でも以下のような構成で話せると納得度は高くなります。

〇成果についての質問


What : 成果を出すために、あなたは「何の取り組み」をしたのか?
Why : なぜ、その取り組みをしたのか?
How : その取り組みは、どんな工夫をしたのか?何が他の人と違うのか?

テキストにすると至極簡単に見えますが、この質問によって、人材の思考や行動原理が良く把握できます。
例えば、とても単純化して比較しやすい事例になりますが、共にMVPを取ったことがある法人営業のケースで見てみます。

Aさんは、法人営業でMVPを取った事があり、書面上は優秀人材に見える。ただ、その取った背景や工夫を聞くと、「上司の指示に従って、とにかく数多くの訪問を心掛けた」、受注率向上に向けて「既存の説明資料やリーフレット」の改修をしたという事を、意気揚々と答えた。

Bさんも、法人営業でMVPを取った事のある人材だ。その背景や工夫を聞くと、「限られた稼働の中での成果最大化」を常に意識し、「営業プロセス(アポ取得、訪問、初回提案率、受注率)」ごとに分析し、自身で各プロセスにおいてPDCAを週1で回していたこと、「セグメント別顧客の受注率や、過去の販売タイミングから逆算したリプレイス時期の把握」など、分析をベースに販売して成果を上げていた。加えて、そのナレッジを展開する事で、部全体の売上すら倍増させ、チームの成果最大化に向けた取り組みをしていたのだ。

どちらが、再現性高く、自社のプロダクトや商材を売れる法人営業かは一目瞭然だと思います。もちろん、会社の商材やカルチャーによっては、とにかく足で稼ぎ、汗をかくA人材を求めるケースも無くはないですが、多くの場合はB人材を求めると思います。こういうプロセスに再現性は宿り、多くの企業は、あなたが異なる環境でも成果を出せる人材かをシビアに見極めていると考えた方が、転職活動は上手くいくでしょう。

転職活動時に、市場価値の要素である「再現性」を語れるようになるためにも、現在の仕事を通じて培われたスキルや経験が何で、再現できるようにするためにはどうするのかを考えて行動していくだけで、市場価値は今より上がると思いますので、是非試してみてください。

またテクニカルスキルを活かした転職の場合、キャリアデータベースでは、職種ごとの変遷や転職傾向も見れますので、参考にしていただければ幸いです。

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